丹下忠之 著(常葉大学)
情報業の経済学


A5判 上製 189P 本体2500円 

 本書は「情報業」という用語を設け,「情報財」の製造・販売を生業としている企業もしくは産業の総称としてこの用語を使う。また「情報財」という用語は,一般に情報財と思われている経済財の中で,特にディジタル媒体で表現できる情報財に限定した意味で用いることにする。本書では,限定された意味で「情報財」を考えていて,また,製品自体がそのような「情報財」という,「情報財」の製造・販売を生業にしている企業を想定し,そのような企業が採用する行動様式や組織に焦点を絞って議論する。・・・・・(「まえがき」より)


目次
はじめに
序章
第1章 情報財と情報作業の基本的な性格
 1・1 ディジタル媒体で表現された情報
 1・2 限界費用ゼロ
 1・3 流通費用ゼロ
 1・4 固定施設の個別所有の消滅
 1・5 情報技術の発展の意味
 1・6 情報作業の基本的な性格
 1・7 情報業の特徴
 1・8 情報財に関する議論

第2章 情報業の行動原理
 2・1 市場の状態に関する議論
 2・2 「ローカル優位」を生じさせるその他の原因の解消
 2・3 情報業の市場モデルの前提条件
2・4 個別企業の行動様式
 2・5 価格・生産量の決定
 2・6 市場取引の肥大化
 2・7 製品のセグメント化
 2・8 顧客のセグメント化とマスカスタマイゼーション
 2・9 「標準」と「規格」について
 2・10 「標準」の具体的な事例
 2・11 競争優位を獲得するための一般的な方法

第3章 企業組織の変更
 3・1 情報業の行動原理と組織規模
 3・2 固定設備の分割利用可能性の影響
 3・3 流通過程の特徴と組織規模
 3・4 本社業務の分離
 3・5 労働の管理可能性の崩壊
 3・6 階層型組織構造の崩壊
 3・7 「マルチジョブ」の本質的な意味
 3・8 終身雇用制度の崩壊
 3・9 給与の決定基準の変化
 3・10 「在宅勤務」「サテライトオフィス」
 3・11 職能別組織と事業部制
 3・12 具体的な現象の説明
 3・13 情報業の情報システム

第4章 コンピュータソフト開発
 4・1 コンピュータソフト開発の諸問題
 4・2 コンピュータソフト開発の隠れた問題
 4・3 情報科学からの接近
 4・4 コンピュータソフト開発企業の成り立ち
 4・5 開発体制の問題点
 4・6 効率的生産の方法
 4・7 情報業としてのコンピュータソフト開発業

第5章 放送,新聞,出版
 5・1 新聞業現状
 5・2 新聞業――ビジネスプロセスの変更
 5・3 新聞業ビジネスプロセスの変更の結果
 5・4 出版業――現状
 5・5 出版業――ビジネスプロセスの変更
 5・6 出版業――ビジネスプロセスの変更の結果
 5・7 放送業現状
 5・8 放送業ビジネスプロセスの変更
 5・9 放送業ビジネスプロセスの変更の結果
 5・10 基本的な論点
 5・11 コンテンツの製作方法の改善

第6章 流通,金融
 6・1 金融業に関わる諸論
 6・2 金融業の経営革新
 6・3 流通業の基本的論点
 6・4 通信販売
 6・5 商業集積
 6・6 末端メディア変換
 6・7 電子商取引の影響
 6・8 流通の展望

第7章 経営革新の全体的な傾向
 7・1 情報技術の発展と製造業
 7・2 情報技術の発展とサービス業
 7・3 垂直分業と通信販売または末端メディア変換の組み合わせ
 7・4 電子商取引の経済上の意味
 7・5 変化の見通し

第8章 「情報業の経済学」に関連する諸論点
 8・1 経営革新の全体像
 8・2 企業が成立する理由の検討
 8・3 情報財に関する諸論
 8・4 情報産業の分類基準

まとめ ――情報化社会の経済

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