『弁証法の理論』(全2巻)下巻「認識論としての弁証法」をお届けします。
本書は,弁証法の本質の問題をとりあつかった前著『へ−ゲル弁証法の本質』の続編として,へ−ゲル研究によってうち出された弁証法の本質にかんするレーニンの問題提起を中心に検討したものであります。弁証法におけるレーニンの問題提起は,それまでのすべてのマルクス主義者たちの盲点をついた重要な理論的な問題提起だったのであります。しかし要は,それをいかに正しく理解し,われわれの前進のための踏み台となすかにあります。レーニンの問題提起についての誤った理解から,過去においても,そして今日でもなお,多くの混乱が生じ
ていることは周知の通りであります。したがって,本書で私は,レーニンの理論的問題提起の意味を明らかにし,レーニン的視角から弁証法の正しい研究方向を示すことに,力点をおいたつもりであります。
(本書「まえがき」より)
目 次
第1篇 哲学におけるレーニンの問題提起
I 認識論としての唯物論の提唱
II「弁証法の問題によせて」におけるレーニンの問題提起
1 対立物の統一の法則とその本質
2 対立物の統−の法則の学的形態
3 認識論としての弁証法
第2篇 弁証法の存在論的性格
I 学としての弁証法の二重性
II 弁証法における客観主義の立場
III 認識論主義的誤謬について
一見田石介・松村一人氏の見解への批判−
1 見田氏の「へ−ゲル主義」断罪について
2 松村氏の『へ−ゲル論理学研究』について
3 見田氏による松村説の適用
IV 弁証法における内容主義
V へ−ゲル『論理学』の存在論的粛裳
第3篇 弁証法の認識論的性格
I 「弁証法の諸要素」の認識論的意義
II レーニンによるヘーゲル『論理学』の認識論的理解と卓の可能病癖ゐ問題
III 存在論主義批判
1 武市健人民の存在論主義的「弁証法」観について
2 宇野弘蔵氏による武市説の適用
IV 学的認識の論理
1 非学的認識から学的認識へ
2 学的認識における"bchdenken"の論理
3 "Nachdenken"による即かつ対自的考察法
V 1930年代の日本におけるレーニン的段階をめぐる論争にふれて
引用文献注
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