『弁証法の理論』(全2巻)上巻「ヘーゲル弁証法の本質」をお届けします。
本書における私の弁証法の考察は,へーゲルにおいて「弁証法」という名のもとにとられているもっとも普遍的で,もっとも基本的な態度を抽出し,抽出されたそれらのものが一体どんな相互連関にあるのか,なぜそのような連関構造をもつのか,その連関構造の根拠を明らかにしたうえで,それではへーゲル弁証法とマルクス弁証法との真の本質的な違いは一体どこにあるのか,という問題を明らかにしょうという点にあります。従来,へーゲルとマルクスの違いといえば,観念論対唯物論の形では多くの研究がなされてきましたが,弁証法そのものに
おけるへーゲルとマルクスとの差異についての研究は,あまり進んではおりません。その意味では,本書における私の問題提起も有意義ではないかとひそかに自負しているものであります。
目 次
第1篇 ヘーゲル哲学とその唯物論的読解の可能性
I ヘーゲル哲学の−般的性格
1 汎神論の完成
2 方法的特徴
3 宗教と哲学
II 唯物論的理解への道
1 古典家たちによるへーゲル評価
2 唯物論的読解の可能性と必然性
3 思弁的抽象法と唯物論的抽象法
a 思弁的抽象法の秘密
b 唯物論的抽象法の立場
第2篇 ヘーゲル弁証法の三大特色とその根拠
I 徹底した内在的考察の態度
II 歴史主義的見地
1 歴史的生成の論理
2 矛盾と歴史的見地
III 総体性の立場
1 総体性(体系)の一般的性格
2 学問的思考の結果論的性格
3 端初決定の論理
4 思弁的方法の二重性と端初の二重性
IV へーゲル弁証法の一般的定式化とその根拠
1 弁証法の一般的定式の意味
2 弁証法の根拠としての「精神」の二重構造
3 へーゲル弁証法の主休的根拠としての理論と実践の統一の問題
第3篇 マルクス弁証法の本質――へーゲル弁証法との差異について――
I マルクス弁証法の主体的根拠としての実践的唯物論の立場
II 唯物論と内在的弁証法との合体
III 絶対的歴史主義に立脚した総体性の立場
1 エンゲルスによる絶対的歴史主義の確立
2 マルクスによる「総体性弁証法」の確立
引用文献注
既刊案内 哲学、、本の検索、 Top
|