岩佐 茂著(一橋大学社会学部教授)
環境の思想

―ーエコロジーとマルクス主義の接点−― 

資本主義的市場経済がこのまま地球的規模に拡大していったとき、はたして人類は生存可能なのだろうか。 マルクス主義はこの問題にどのようにこたえるのだろうか。

 

序章 環境の恩恵に求められるもの
 1 20世紀は環境破壊の世紀でもあった
 2 環境問題にたいするエコロジー的挑戟
 3 環境問題への思想的アプローチ
I 公害問題と環境問題
 1 産業公害から公害・環境問題へ
 2 「公害」規定とその原因論
 3 今日の公害・環境問題への視点
II 環境と経済の調和のあり方をめぐる思想的対立
 1 環境と経済の調和の問題
 2 環境権の思想とその展開
 3 持続可能な開発の思想
 4 リサイクルの思想
III 環境保全のための環境倫理学
 1 環境倫理学とは何か
 2 「価値」や「権利」概念の拡張の試み
 3 「固有の価値」や「権利」概念の拡張の不可能性
 4 「もう一つの環境倫理学」としての「宇宙船倫理」
IV マルクス主義におけるエコロジー的視点
 1 ひとつの問題提起
 2 若きマルクスにおけるエコロジー的視点
 3 『資本論』におけるエコロジー的視点
 4 エンゲルスにおけるエヲロジー的視点
 5 自然「支配」か、自然への「適応」か
 6 生産力主義と生産力の問題
V 環境にやさしい生活様式と社会経済システムの変革
 1 環境にやさしい生活様式の可能性
 2 大量生産を担う資本の論理
 3 エコ社会主義の可能性
補論 地球的規模における環境破壊と価値の問題
 1 自然的存在としての人間
 2 価値としての自然環境と反価値としての環境破壊
 3 日本における公害の経験
 4 今日の地球環境問題
 5 「環境保全型生産体系」を導く「持続可能な開発」の概念
 6 「持続可能な開発」と生産諸力の発展
あとがき

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