マルクス地代論の研究 46判 上製 230P 本体1800円 |
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マルクスが『資本論』の最終に近い諸章で展開している地代論は,2つの重要な理論的意義をもっている。 第1に,それは,かれ白身が明言しているように,『資本論』の全体系書完結させるものである。いうまでもなく,現行『資本論』は資本と賃労働と土地所有の三範疇からなる資本主義的生産様式の内的編成を理論的に解剖したものであるが,地代論よりまえの諸章では,資本と賃労働の関係だけがとり扱われていたとすれば,地代論にいたってこの生産様式の最後の構成要素である土地所有が登場し,これによって,この三範疇からなる資本主義的生産様式の内的編成の理論的考察が完結し,その全貌が明らかとなる。第2に,それは,一国の農業経済の分析にとって重要かつ不可欠の基礎理論,分析用具を提供するものである。ある小農国において,土地生産物価格や地代や土地価格がいかなる法則にもとづいて形成されているか.小農経営はどのような方向にむかっているか,農民の貧困化はいかに進行しているかなどの理論分析にさいして地代論は基礎をなすものである。このような研究方法はすでに農業経済の研究において定着しており地代論の研究が農業経済の専攻者によって行われてきたことはけっして偶然ではない。私は,かねてより,地代論がこのような2つの理論的意義をもっているとの認識に立って,その研究にたずさわってきた。本書は,これまでの研究をとりまとめたものである。
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