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本書の課題は,明治以降,戦前,戦後期におけるわが国の,主として大学・研究所に籍を置く研究者が,近代(19世紀一20世紀初頭)イギリスにおける地方行政・財政の歴史を,いかなる視角から研究し,どのような歴史像を描いたかを明らかにすることにある。この作業を通じて,各時期における研究の特徴とその研究に孕まれる問題点を摘出したい。なお,補論として,わが国における近代イギリス地方財政と近代・現代ドイツ都市財政に関する著作を通じて,現在のわが国の地方行財政史研究とその周辺の研究水準を明らかにしよう。
はじめに
本書の課題/時期区分/本書の叙述
1章 明治期・戟前期・戟後初期の研究
1節 イギリス地方行政・地方自治体の概観
イギリス地方自治への関心とその特徴/戦前期の研究業績
とその特徴/わが国における急速な都市化の影響/第一次
世界大戟・戦中期の特徴/戦後初期におけるイギリス地方
自治研究/藤谷謙二/藤田武夫/地域法 local act
2節 イギリス市議会の行財政制度
イギリス市議会/イギリス市議会の制度的問題点
1 Sideny and Beatrice Webbの地方行政史研究−その偏見
Sideny and Beatrice Webbの偏見/藤田武夫のイギリス地方
財政研究の問題点
2 国庫補助金制度 27
藤谷謙二の国庫補助金研究/国庫補助金制度の発端/国庫
補助金の性格/イギリスにおける地方行財政史研究の進展
3節 戦後初期の19世紀イギリス地方行財政史研究の特色
戦後初期の研究の特色
2章 戦後期の研究
戦後期の研究
1節 地域史・行政史研究
地域史・行政史研究/個別都市史研究
1 個別地域史研究
個別地域史研究/新救貧法研究/市街化地域における土地
保有/個別都市史研究
2 行政史的研究:中央―地方間の行政関係の研究 行政史的研究/税務行政/
選挙人登録/地方税の正確/選挙権改革の方向/「19世紀行政革命」研究の進展
2節 地方税・地方財政史研究
1 Peacock and Wisemanの公的支出増加論
Peacock and Wiseman/経費膨脹と官僚制度
2 近代イギリス財政史研究の最近の動向
19世紀イギリス国家財政の基本的運営政策/「租税国家の成
立」「財政・軍事国家」論/わが国における近代イギリス国
家財政研究/わが国における19・20世紀初頭イギリス国家財
政研究の特徴/土生芳人/吉岡昭彦/「階級国家論」「段階
論」「手段=道具としての国家論」/「階級国家論」/「段
階論」/「手段=道具としての国家論」/17・18世紀イギ
リス財政史研究と19・20世紀財政史研究との対比/欧米に
おける近代国家財政研究の進展・「財政・軍事国家」論
3節 地方税・地方財政史研究
資本支出=借入金/地方税・地方財政研究/公営事業/税
の転嫁・帰着/土地課税・地方所得税:中央政府と地方政
府との財源配分/地方税・地方財政史の動向
結び
補論 イギリス・ドイツ地方財政制度――書評を通じて見た,
わが国における地方財政研究の動向
あとがき
索引
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