本書は全体で8章から成る。第1章は、現代アメリカ資本主義を、かつての栄光の座からこの半世紀程の間に没落した資本主義として把握し、その原因と世界史的意義を、全体的、理論的、実証的に論じたものである。また第2〜8章は、具体的に各産業分野を取り上げ、使用された用語の違いはあるが、競争の激化または効きに対する再編あるいはリストラクチュアリングという視点から第1章で指摘された点を実証的に深めようとしたものである。(「あとがき」より)
第1章 アメリカ資本主義の栄光と没落 金田 重喜
氈@はじめに
アメリカ資本主義の世界的歴史的位置付け
1 国民総生産(GNP)指標での相対的低落
2 世界工業生産での米国の比重の低下
3 世界貿易での米国の比重の低下
4 債権国から債務国への転落
5 資本の世界での相対的地位の低落
6 生活諸指標からみたアメリカ
。 アメリカ資本主義は何故没落するか
1 アメリカ産業の競争力喪失の要因
2 研究開発におけるアメリカの優位の低下と設備の老朽化
3 多国籍化と産業空洞化
4 その他の諸要因
第2章 現代アメリカ南部の繊維産業と貧困問題 富澤 修身
氈@はじめに
1970年前後を境とする雇用構造の変化
1 南部工業雇用の変化
2 ルーラル諸郡の工業雇用の変化
3 アメリカ大企業の分工場設置・撤退と外国企業の進出
。 繊維産業企業と日系企業進出
1 織維産業企業
2 日系企業の進出
「 ルーラル南部問題と新たな処方箋
1 ルーラル南部問題
2 新たな処方箋の模索
第3章 アメリカ鉄鋼業のリストラクチャリング 川端 望
一衰退と転換のプロセスー
氈@はじめに
戦後アメリカ鉄鋼業の蓄積構造の動揺
1 アメリカ鉄鋼業の衰退と輸入問題
2 技術的基礎の腐朽と市場の喪失
3 多角化による原料資源統合体制
。 戦後最大の鉄鋼不況と一国的管理価格体制の崩壊
1 トリガー価格制度の停止と82〜83年鉄鋼不況
2 輸出自主規制協定の締結
「 リストラクチャリングの展開
1 一貫体制の再編と集約的近代化
2 企業集中・分離・淘汰による競争構造の変化
3 多角化事業再編の二類型
4 「譲歩」の時代の労資関係
5 国際合弁事業の開始と展望
v 世界市場競争の中のアメリカ鉄鋼業
、 おわりに
第4章 自動車産業の構造変化一ビッグ・スリーの危機と日系企業の成長一 橋本 輝彦
氈@はじめ
第2次大戦後の産業構造
1 寡占体制の成立と国内市場
2 寡占体制の基礎
3 寡占的企業行動
。 市場構造の変化と競争の激化
1 需要の小軋多様,低燃費,高品質志向
2 日本企業の台頭とアメリカ企業の後退
「 1980年代ビッグ・スリーの苦難と回復過程
1 1979〜1982年不況
2 レーガン政権「自動車産業救済計画」と労組の譲歩
3 1982年以降の急速な回復とその実体
4 ビッグ・スリーの80年代戦略の問題点
v 1990年代の展望
1 ビッグ・スリーの90年代戦略
2 1990年代初期の動向
3 1990年代の展望
第5章 石油危機と再編されるアメリカ石油産業 金田 重喜
氈@はじめに
アメリカの石油産業略史
。 世界におけるアメリカ石油産業の位置付け
「 1973年以前のアメリカ石油産業の構造
1 共同企業体(合弁会社)方式
2 金融資本的結合
3 連邦・州政府との融合癒着
」 7大石油独占の世界支配体制
、 国際石油独占体の利権とOPECの形成
・ 石油危機以後の世界石油産業の構造
1 省エネルギー努力と石油消費の低迷
2 探査開発努力とOPECの比重定価
ヲ 世界石油産業の現段階
1 探査・開発努力の強化
2 M&A&D
3 多角化、とくに総合エネルギー独占への途
第6章 1980年代「競争再編」下のアメリカ情報 エレクトロニクス産業 山田 誠治
−−規制緩和政策のもとでの構造再編の概観
氈@コンピュータ・電気通信産業の規制緩和
1 競制緩和措置の内容
2 規制緩和の背景
マイクロエレクトロニクス化とコンピュータ産業の構造変動
1 リーディング企業の交替
2 コンピュータの「ダウンサイジング」
3 ハード・ソフト分業関係の変化
4 「オープン化」「ネットワーク化」の進展
。 電気通信産業産業の多様化
1 AT&T分割の影響
2 情報サービス部門の台頭
「 競争力問題とアメリカ情報エレクトロニクス産業
1 競争力問題の構造的特質
2 ハードウェアの競争力問題とその対応
3 業界標準分野での優位性の強化
4 サービス分野での世界進出
V まとめにかえて
第7章 TVA原子力事業の危機とリストラ 小林 健一
氈@はじめに
過剰建設の失敗と産業構造の変化
1 原発事業の展開
2 電力需要・産業構造の変化
3 原発事業の危磯
。 原発の品質管理問題
1 原発の構造と安全性
2 BF原発火災事故
3 BF原発の長期運転停止
4 SQ原発の長期運転停止
5 WB原発の建設停止
6 TVAの問題と原発技術
「 再建のためのリストラクチャリング
1 民間技術幹部の導入
2 民間経営幹部の導入
3 再建の方法をめぐって
第8章 アメリカ銀行業の構造変化 伊藤 光雄
一増大するリスクと絶えざる再編−
氈@はじめに
金融自由化以前のアメリカ銀行業
1 制度的枠阻み
2 金融自由化の要因
。 1980年代 ――金融自由化と「再編第1段階」
1 1980年法と1982年法
2 銀行市場の構造変化
3 銀行経営の変化
「 1989年以降 ――金融システムの震撼と「再編第2段階」
1 増大する信用リスク
2 「金融不況」下の銀行
V むすびにかえて
あとがき 土屋 慶之助
索 引
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