秋葉節夫(広島大学)著
マルクス階級論の構造

46判 上製 199P 本体1800円 

目次
序にかえて
 一 はじめに
 二 欧米の階級論
 三 日本の階級論
 四 本書の内容と方法

第一章 階級観の原像――階級と個人――
 一 はじめに
 二 イデオロギー批判の方法とその展開
  1 イデオロギー一般の批判
  2 ドイツ的イデオロギーの批判
  3 ブルジョワ・イデオロギーの批判
 三 「階級的個人」の諸相――偶然的個人と平均的個人
  1 階級形成の前提としての利害論
  2 階級と身分,偶然的個人と個の自立
  3 階級と国家,平均的個人と人格的自由
 四 「階級的個人」の諸相――抽象的個人と共同社会――
  1 生産諸力と交通形態との対応・矛盾の一般的定式
  2 私的所有と労働の対立,「私的所有の力」としての生産諸力
  3 抽象的個人と諸個人の連合
 五 「階級的個人」から「全体的諸個人」へ
  1 生産諸力と交通の普遍性とその取得
  2 諸個人の自由な発展

第二章 資本関係の定礎
  ――資本に対する階級,大衆自身にとっての階級,自由な労働者――
 一 はじめに
 二 プルードン批判の方法
  1 「アンネンコフ宛手紙」におけるプルードン批判の方法
  2 『哲学の貧困』におけるプルードン批判の方法
  3 「生産諸関係」の「全体」としての「社会体」
  4 過程的再生産の視点
 三 『哲学の貧困』の近代ブルジョワ社会分析
  1 労働価値説の受容
  2 商品関係と資本関係の矛盾
  3 リカード経済学の批判
  4 資本関係の解体の物質的条件としての近代的工場
  5 「資本に対する階級」と「大衆自身にとっての階級」
 四 『賃労働と資本』の近代ブルジョワ社会分析
  1 労働商品論と自由な労働者
  2 労働の価格
  3 事実上の剰余価値論と商品関係・資本関係の相互媒介
  4 資本関係の再生産
  5 「生産的資本の増大」と恐慌
 五 おわりに
  1 資本関係解明への一歩

第三章 「取得法則の転回」と資本関係分析の論理
 ――『資本論』ドイツ語第二版と仏語版との対比を通じて――
 一 はじめに
 二 「単純再生産」と資本関係
  1 再生産・循環的見地
  2 階級関係としての資本関係の内実
 三 『資本論』ドイツ語第二版の「取得法則の転回」論と資本関係
  1 他人労働による他人労働の(継続的)無償取得
  2 「取得法則の転回」論の内実
  3 「取得法則の転回」論の限界性
 四 『資本論』仏語版の「一回かぎりの行為」の見地と再生産の見地
  1 個別資本の観点と社会的資本の観点
  2 個別的・一回かぎりの行為の見地
  3 再生産・「その更新と不断の流れ」の見地
 五 おわりに
  1 資本家的取得と「商品生産の諸法則」
  2 近代ブルジョワ社会認識の到達点

第四章 資本関係の論理構成
 一 はじめに
 二 商品の取得としての資本関係
  1 「単純流通過程」での商品・貨幣関係
  2 譲渡を通じての取得
  3 不払他人労働の取得としての資本関係
 三 一回限りの行為の見地と再生産の見地
  1 他人労働の取得と再生産の見地
  2 資本関係の再生産
  3 商品関係と資本関係の関連
 四 「三位一体的定式」と資本関係
  1 「三位一体的定式」の前提
  2 「三位一体的定式」の構成上の特徴
  3 「三位一体的定式」の帰結
 五 分配関係としての資本関係
  1 三大階級の収入源泉の所有者としての特徴
  2 商品関係としての資本関係と分配関係としての資本関係
第五章 資本関係の物象化――所有と機能――
 一 はじめに
  1 資本主義的生産の発展
  2 マルクス階級概念の再構成の動き
  3 所有関係と機能関係
 二 資本関係の独自性
  1 「二重の意味」で自由な労働者
  2 資本の生産過程と賃労働者
  3 資本関係の再生産
  4 所有関係が機能関係として現れる根拠
 三 資本所有と資本機能の分離
  1 総利潤の企業者利得と利子への分化
  2 所有資本家と機能資本家
  3 資本家の生産過程からの退場
 四 「特殊な部類の賃労働者」としての管理労働者
  1 資本機能としての指揮・監督の展開
  2 資本機能の担い手の階層的分化
 五 おわりに
  1 管理の「社会化」
  2 管理労働者の増大と「管理賃金」の低下

第六章「訓練され結合され組織されていく労働者階級」
 一 はじめに
 二 『経済学批判要綱』の大工業論と階級認識
  1 恐慌と革命の予測
  2 『経済学批判要綱』における大工業論
  3 産業循環と恐慌
  4 一八五七年以降の恐慌評価
 三 『一八六一―六三年草稿』における「生産過程」論と階級認識
  1 協業と分業
  2 大工業と資本関係
  3 資本関係の再生産
  4 『一八六一―六三年草稿』の到達点
 四 『資本論』における階級認識
  1 労働力商品の価値規定
  2 「労働日」の制限=標準労働日の創設
  3 協業と分業
  4 大工業と労働者の組織性・規律性
  5 「労働日」の制限と「全面的に発達した個人」
 五 おわりに
  1 生産過程論の深化と組織性・規律性,そして自覚化の契機

 あとがき

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