★仲本 章夫 編著

認識・知識・意識
−現代的到達点を探る−

 現実が激しく揺れ動き、科学・技術が未曽有の発展を示しているとき、その現状を把握するためには、現実にたいする豊かな感性とともに、その本質を認識する力が必要である。そのような力を深めるのが認識論の役割であるとすれば、今のような時代にこそ、新たな認識論が求められているといわねばならない。
 認識論は哲学内部では基礎的部門のひとつであるが、最近は認識論を主題とした哲学的研究は非常に少なくなってきているのが実情である。しかし、現実の激動のなかで哲学の真価が問われているとき、認識論的諸問題についても、新しい観点から再検討してみることが必要であるだろう。
 本書は、唯物弁証法の立場から認識論に関心をもつ7人の研究者が、認識論の原理的諸問題について数年間にわたり研究会を開き、討論を積み重ねてきたことをまとめた集団的労作である。

目 次
 序
I 認識論と哲学
 1.認識論研究の方向性……仲本章夫(都立商科短大)
  1.反映について
  2.反映としての認識
  3.認識過程の弁証法
  4.認識の枠組みをめぐって
 2.認識論の現代的課題……島崎 隆(一橋大学)
  1.「新しい知」を求めて
  2.技術知VS思想知
  3.情報知VS哲学知
  4.認識過程のダイナミズム
 3.認織論における史的唯物論的観点……岩佐 茂(一橋大学)
  1.生活・実践の観点と史的唯物論的観点
  2.認識における主体と客体
  3.生活活動の不可欠の契機としての認識
  4.認識様式の考察
II 認識論と科学
 1.科学的認識と相対主義……佐野正博(東京農工大学)
  1.科学的認識における事実としての相対性とその相対主義的理解
  2.理論科学的認識とイデオロギー的理論認識の歴史的分化
  3.科学性・真理性・合理性
 2.知覚論の現代的課題……稲生 勝(一橋大学大学院)
  1.知覚論の今日的問題状況
  2.知覚の機械論的把握
  3.知覚の主体的側面
  4.知覚の矛盾と反映論
 3.想像力の問題によせて……太田信二(国学院短大)
  1.「新たなもの」の形成と「素材」的契機
  2.想像力と自由
  3.認識過程と想像力
  4.想像力は第三の能力か?
  5.想像力と実践的志向
 4.矛盾の合理牲についての認識論的考察……鶴見 勉(木更津高専)
  1.科学的矛盾論の概説
  2.科学的矛盾論の要点
  3.実数の連続論の矛盾について
  4.超準解析について
  5.ファジィ論理と弁証法

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