現代社会、つまりわれわれが生活している今日の社会は、一面において利便化が高度に「成熟」した社
会となっているが、しかし、けっして安定した状態にあるのではなく、そこにはさまざまな問題が生じて
いる。そのなかには、科学技術の発展などによって解決することのできない社会的な問題も含まれている。
こうした社会的な問題は、社会のなかでの人間のあり方と深い連関をもっており、その解明にあたって
は、そもそもの人間のあり方それ自体が考察されなければならない。それとともに、社会のあり方もまた
分析される。そうした作業をおこなうことによって、今日の諸問題の解決の糸口が見いだされるだろう。
そしてそこから、未来への展望を切り開いていこう、というのが本書の主旨である。(「序」より)
序 現代社会と人間主体――――小林一穂
一 現代社会の諸問題
ニ 新しい人間主体の追究
三 人間存在と社会過程
――マルクス 小林一穂
はじめに
一 マルクスの視角と方法
1 動態的把握
2 重層的把握
二 近代ブルジョア社会としての現代
1 近代ブルジョア社会の問題状況劫
2 商品世界と資本世界
三 人間存在の唯物論的把握
1 生活主体としての人間
2 生産主体としての人間
四 社会過程の唯物論的把握
1 生産の総体としての社会
2 生産過程としての社会
五 近代ブルジョア社会のメカニズム
1 近代ブルジョア社会の特殊歴史性
2 近代ブルジョア社会の内的矛盾
六 将来社会への展望
1 人類的普遍性の形成
2 人間主体と社会変革
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II 行為論的アプローチの原点
−−M・ヴェーバー 大関雅弘
はじめに
一 初期ヴェーバーの資本主義論
1 ヴェーバーの生きた時代と学問的背景
2 ヴェーバーのユンカー経営分析
3 ヴェーバーの「国民国家」論
4 ヴェーバーのドイツ近代化の構想力
ニ 「資本主義の精神」の構造と論理
1 「倫理」論文における方法の問題
2 「倫理」論文の問題設定
3 世俗内的禁欲の宗教的諸基礎
4 禁欲と資本主義
三 ヴエーバーにおける行為論の形成
l 「倫理」論文における資本主義論の特徴
2 ヴェーバー方法論の特質
3 社会現象にたいする行為によるアプローチ
おわりに
III 国家概念の拡大と現代の市民社会
− Aグラムシ 鈴木 富久
はじめに
一 国家概念の拡大
ニ 「教育者」としての国家
三 国家の概念構成から経験的分析へ
四 現代の市民社会の相貌
五 現代国家の危機とその行方
おわりに
IV コミュニケーションと社会形成
− G・H・ミード 伊 藤 勇
はじめに
一 ミード思想に貫くもの − 「行為主義」と「科学的方法」
1 ミードの「行為主義」
2 ドグマティズム批判と「科学的方法」
二 社会改革の方法と「社会心理学」の課題
1 シカゴにおける社会実践
2 社会改革へのコミュニケーションの組織化
三 コミュニケーションの社会理論訓
1 方法的立場
2 コミュニケーションと自我精神の発達
3 コミュニケーションと人間関係の動態
おわりに
V 公共性とコミュニケーション
−−J・ハーバーマス竹内 真澄
はじめに
一 冷戦下における(ポスト冷戦パラダイム〉の構想
二 ファシズムは終点か通過点か
三 『公共性の構造転換』の基本的構図と政治的メッセージ
四 (コミュニケーション的行為)を提起する社会認識論的な根拠
五 中間考察−ドイツと日本の社会理論の比較
六 社会国家の二重の危機と現在−(正統性の危機論〉から
(コミュニケーション的行為の理論〉へ
1 『後期資本主義における正統化の諸問題 一九七三年)
2 コミュニケーション的行為の理論』(一九八一年)
七 市民的社会(Zivilgesellschaft)とハーバーマス
おわりに
あとがき著者一同
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