著者紹介:1951年生れ。1982年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了 現在横浜国立大学経済学部教授
内 容: ギリシア時代以来のヨーロッパの学の展開の中で,社会の経済的把
握のあり方を系譜を、働くことの意味づけと経済理論との関連という
視角から整理し、検討を加える。アリストテレスからスラッファまで
という壮大な視野のもとに労働価値論史研究に一石を投ずる労作!
主要目次:
序 論
1 問題意識――わが国の経済学史研究の特質
2 働かないことの意義――<アルバイト・コンプレックス>
前篇 正義と労働の経済思想史
第1章 アリストテレスにおける経済的社会把握の方法
――正義・労働・貨幣・経済――
I はじめに――なぜアリストテレスなのか
II アリストテレスについての経済学史的評価の類型
III アリストテレスによる経済的社会把握
IV アリストテリアンとしてのマルクス?
V おわりに
第2章 トマス・アクィナスの「交換的正義」と「公正価格」
――中世の“危険な思想家”としてのトマス――
I はじめに――時代背景
II トマスの経済思想の経済学史的評価の概観
III 「交換的正義」の経済学的意味
IV 「公正価格」の社会理論的含意
V おわりに――アリストテレス,トマス,マルクス
第3章 マルチィン・ルターにおける経済と労働
――ウェーバー・テーゼの妥当性への一批判――
I はじめに
II ルターの経済観と公正価格論
III ルターにおける労働と職業
IV ウェーバー・テーゼにおけるルター
V おわりに
策4章 アダム・スミスにおける「交換的正義」と経済学の形成
――自律的経済の把握と労働価値論――
I はじめに――分裂するスミス像
II 自然法の世俗化と“契約的交換社会”観
III スミスにおける「交換的正義」の意義
IV 「交換的正義」の含意と『国富論』の労働価値論
V おわりに
後篇 労働価値論の理論史
第5章 「絶対価値」概念からみたリカードゥの労働価値論
――記述の形式化と経験主義からの乖離――
I はじめに――リカードゥと「絶対価値」
II リカードゥ経済学の課題と方法
III リカードゥの「絶対価値」概念の形成
IV 「絶対価値」概念の特色とリカードゥ経済学の運命
V おわりに
帯6章 サミュエル・ベイリーの「絶対価値」批判とマルクス
――労働価値論の解体と再編――
I はじめに――ベイリー登場の背景
II 『論究』の価値概念の特色
III マルクスによるベイリー研究とその批判
IV マルクスにおけるベイリーの受容
V 労働価値論とマルクスの価値概念
VI おわりに
第7章 マルクス労働価値論の特異性とその異義
――19世紀経済学における位置――
I はじめに――課題の設定
II リカードゥ価値論の問題状況
III 古典派価値論の組みかえ
IV 『資本論』冒頭章における労働と価値との連関
V おわりに――マルクス価値論の経済学史的意義
第8章 ベーム=バヴェルク以降のマルクス批判と現代の労働価値論
――等価交換批判・転形問題から「マルクスの基本定理」・「搾取の一般理論」へ――
I はじめに
II 古典的マルクス批判の方法論的含意
III 労働価値論の現況――スラッファ・「マルクスの基本定理」・「搾取の一般理論」
IV おわりに
結論 労働の解体と「分配的正義」の復権
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