この第五巻が、なぜ「六歳児の保育」というテーマにしぼられてきたのかということですが、一口でいえぱ、人間形成における幼児期の育ちがもつ重要性をもっと明らかにすることが必要とされている社会状況に、現在私ちが生活しているということになるだろうと思います。六歳児を幼児期から学童期への接点としてとらえれぱ「六歳児の保育」には、このことが集約されて表われているからです。早期文字教育の低年齢化にみられるように、学童期(学校教育)の課題がどんどん、幼児教育・保育にもちこまれつつあります。そういうなかで、人間形成を全体として見通したとき、幼児期にもっとも大事にすることは何なのかを、斎藤先生の四十数年の保育実践の中から、具体的に知りたいというのが、さくら.さくらんぽ保育研究所で学習をつづけている全国の保育者の声でした。
目次
第一章 科学的な子ども観・保育観のために (広木 克行)
一 子どもが発するシグナルを読みとる
二 子どもの身体的・生理的・心的ゆがみ
三 全面発達の保育を求める子ども
四 子ども観のゆがみ
五 遊びと労働の中で育つ子ども
六 質間に答えて登校拒否を考える
第二章 六歳児の保育 (斎藤 公子・広木 克行)
――映画「さくらんぼ坊やE」を見て――
一 何を学ぶのか
二 雑巾ぬいの意味すること
三 大ちゃんが山のぼりしている場面
四 マコト君が逆上りに挑戦する場面
五 集団創作――切絵の場面
六 馬に乗ってる場面
七 ほんものの実践をめざして
第三章 六歳児の保育 (斎藤公子・広木 克行)
――映画「さくらんぽ坊や@」を見て――
一 思春期を見通した保育
二 跳び箱をとべなかった子ども
三 側転ができなかった子ども
四 障害児の自立
五 ウサギ小屋をつくる
六 子どもに最善のものをあたえるとは
七 六歳だからできるとは
八 六歳と文字学習のこと
第四章 六歳児の保育と保育思想の発展 (斎藤公子・広木 克行)
一 保育における思想の重要性
二 早期文字教育と“真の早期教育”
三 全体としての人間
四 集団と個の関係
五 脳の可塑性
六 思想を歴史的に学ぶ
七 ルソーからマルクス,クルプスカヤヘ
八 人間の未来への確信と保育
第五章 幼児期の育ちの重要性 (斎藤公子)
I “アリサ”
II わたしを育ててくれた童話・文学
本巻あとがき
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