ファッション産業論 ――衣服ファッションの消費文化と産業システム―― 発売中 A5判上製394頁 3200円 |
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本書のねらい 消費や消費社会についての議論が盛んである。過剰生産と過剰消費が大きな問題になっている。この2つの過剰の組み合わせは、きわめて現代的課題である。しかも過剰消費が、個々人レベルでの豊かさに結びつかないだけでなく、地球社会レベルでは解決の急がれる大問題を生みだしている。生産し、消費すれば、豊になれる、幸せになれる、という大前提を再検討しなければならない状況に立たされているといえよう。1 経済学や経営学からの従来の研究は、生産中心でもよかったが、現代の問題状況は、もはやこれでは不十分である。生産と消費を同時に扱う必要がある。2 豊かさの欠如(感)という点では、人間の欲求を扱う必要がある。経済学に美の視点を取り入れる必要がある。それゆえ、大きく構えれば、「消費と美」の領域に分け入るために、ソーシャル・サイエンス(社会科学)とヒューマン・サイエンス(人間科学)の両視点を踏まえる必要がある。 |
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目 次 はしがき 第1部 資本主義社会とファッション ――主に消費生活サイドから見ると―― 第1章 社会、衣服、ファッション・ビジネス 1 はじめに 2 衣服のもつ役割の変化と多様性 3 衣服と市場経済 4 現代社会の多様な相と多様なファッション 5 転換期にあるファッション・ビジネス 第2章 資本主義における消費 ――経済社会の状況と議論の整理 1 はじめに 2 絶対主義と「装飾の奢侈」 3 第1期:新興ブルジョアジー台頭の時代 4 第2期:金ぴか時代 5 第3期:大衆消費社会の時代 6 むすび 第3章 衣服の変化とファッション現象 1 はじめに 2 衣服とファッションの変化 3 ファッション現象にかかわる諸要因とその相互関係 4 パトロン的生活者とファッション創造 5 流行と経済学 6 「第3のモード革命」はどうなるか 第4章 20世紀後半日本の消費生活と衣生活の変化 1 はじめに 2 20世紀後半の消費生活の変化 3 衣生活と衣服の変化 4 ファッション化 5 ファッションにおける参加のもつ意味 第2部 ファッション産業論 ――主に供給サイドから見ると―― 第5章 世界繊維・アパレル産業の見取り図 1 はじめに 2 世界繊維市場の規模と動向 3 グローバル競争の諸ディメンジョン 第6章 3大繊維市場圏の形成とファッションビジネスの変容 1 はじめに 2 3大繊維市場圏の形成 3 ファッションビジネスの変容 4 むすび 第7章 日本のファッション産業システム ――モノ作りのクリエーション 1 はじめに 2 オートクチュールとプレタポルテのクリエーション過程 3 アパレル産業とブランド・マネジメント 4 テキスタイルの企画開発 5 人材育成機関と繊維リソースセンター 6 むすび 第8章 ファッション産業システムの情報化 1 はじめに 2 日本繊維産業における情報通信技術の利用 3 標準EDI、ウエッブEDIへ 4 課題 5ネットワーク形成の障害としての取引問題(補論) 第9章 ファッション・コミュニケーションの構造と消費者行動 ――メディアの役割と消費者―― 1 はじめに 2 衣料情報の入手経路、衣料の選択基準、購入場所 3 コミュニケーションの構造と消費者行動 3 ファッション・メディアの機能と影響力 4 19世紀前半のパリ、メディア競争・東京・大阪 5 むすび 第10章 繊維基地としての中国と消費市場としての中国都市部 ――グローバル化 1 はじめに 2 中国および上海の紡織産業とアパレル産業の位置と性格 3 上海市域の紡織・アパレル企業 4 中国都市部と上海の消費市場 5 むすび 第11章 ニューヨーク市のファッション・ビジネスとアパレル産業 1 はじめに 2 アメリカ全体と主要州におけるアパレル産業の動向 3 ニューヨーク市のアパレル産業とニューヨークの魅力 4 ニューヨーク市のミッドタウンとその周辺のファッション・ビジネス 5 むすび 第12章 都市生活のファッション化とファッション・ビジネス創造 ――大阪を事例に 1 はじめに 2 ファション消費、消費者との接点 3 ファッション生産の条件はあるか 4 ミラノ、ヴィエンツァ、 コモ 5 大阪の打開の道と3つの魅力作り 第13章 繊維・アパレル産業と社会的責任 ――地球環境対応とユニバーサル・ファッション、ファッションタウン―― 1 はじめに 2 地球環境対応 3 ユニバーサル・デザインとユニバーサル・ファッション 4 岡山県アパレル産地における取り組み 5 むすび 終 章 現代社会の過剰消費とファッションの消費から創造へ ―クリエイティブ・ライフを目指して― 1 ファッションの二面性 2 2つの議論の紹介 3 ファッションのユニバーサル化、リージョナル化、ローカル化 4 記号の消費から創造へ 索引 |