小川雅人 (福井県立大学)毒島龍一(千葉商科大学)福田 敦(関東学院大学)

現代の商店街活性化戦略

A5判上製204頁 2400円

 地域小売商業は時代に振り回されてきた。景気の悪化は真っ先に地域の小売層業に売り上げの減少として表れ,多少景気が持ち直しつつあるように思える今日でさえ,いまだに明るさが見えない。地域小売商業は,大店法から大店立地法に代わり,ますます大型店との競争が激しくなっている。地方都市では空吉舗が増え,シャッター通りになってしまった商店街も数多い。
 しかし,もう少し辛抱すればよくなるのかといえば,店に並べておけば売れ・たあの時代,バブル景気で高いものから売れたあの時代はもう来ないのである。
 今,この時代に店を経営していく,商店を維持していくことでさえも難しい時代である。まさしく不確実性の時代である。ただ,この中でも確実に業績を上げ,商店街としても活性化しているところがある。それは決して大都市の恵まれた立地のところだけではない。
 このような時代を生きる地域の小売店・商店街は,確実に地域にとって必要な存在となっている。本書は,地域の小売店,商店街の活性化を長年実践してきた実務家であり,研究者である3人の著作である。長年見続けてきたために声えて厳しい現実を提示しなければならないし,逆にだからこそどうすればよいかを提案もできると信じている。
 われわれは本書を執筆しながら,これまで会った数々の経営者,商店街幹部,行政担当者の方々の顔を思い浮かべている。本書が,今まで一緒に活性化を考えた人たちへのわれわれからの改めた解答である。本書が商店街活性化,経営店性化,そして地域小売商業を通じて住みやすい地域社会になる一助となれば望外の喜びである

序章  現代の商店街問題と活性化への視点 (小川)

第1章 商店街の新たな視点 (小川)

 第1節 改めて問う「商店街」とは何か

 第2節 地理的条件の共通性で見る「商店街」活性化の条件

第2章 日本の商業集積の現状 (毒島)

 第1節 商店街実態調査でみる商店街の現状と課題

 第2節 中心街と周辺商業地の実態

 第3節 大都市商業と地方都市の商業立地

第3章 商店街振興の歴史的意義 (毒島)

 第1節 高度化事業による商店街・商業集積の環境整備

 第2節 大店法下の商店街の立地特性

 第3節 競争の時代と商店街(大店の撤退と役割の変化)

第4章 まちづくり3法の政策形成意図と中心市街地商業の再生課題

 第1節 商業調整政策から視座転換

 第2節 街づくり3法の概要と問題点

 第3節 中心市街地活性化の取り組み状況と課題

 第4節 TMOの類型と先進地の事例研究

 第5節 まちづくりの主体と事業評価の視点

第5章 商店街組織の類型と「協同」事業のあり方  (福田)

 第1節  商店街組織の類型と機能変化

 第2節 商店街の共同事業

      (事例)一店逸品運動 戸越銀座銀六商店街

 第3節 共同事業から協働事業へ

第6章 商店街と地域団体との連携
――地域商業活性化における地域活動組織との関わりに ついて(小川)

 第1節 商店街の新たな役割分担

 第2節 商店街の構造的課題

 第3節 求められる商店街のパートナー  

 第4節 商店街NPO等の関係の実態

 第5節 地域と商店街の活動例

 第6節 行政との連携

第7章 地域商業人の育成 (小川)

 第1節 商店街の商業インキュベーション機能

 第2節 商店街リーダーの育成

 第3節 行政と地域社会の架け橋                     

第8章 商店街と地域社会の新たなかかわり (福田)

 第1節 地域社会の変容と商店街

 第2節 地域通貨の循環と商店街

第9章 商店街の支援策 (毒島)

 第1節 国の商業施策

 第2節 自治体の商業施策

補論 (小川)

参考:福田敦・小川雅人・毒島龍一・『地域商業革新の時代A5判上製 240ページ 2200 

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