・・・・・・第一章は、青森地域文化研究所発行の月刊『れぢおん』に、同研究所、福士隆三氏の依頼によって、二〇〇二年四月から〇四年三月迄掲載した「青森風景誌」を再構成したものである。改題し、「北奥――」としたのは、登場作家が北奥に及ぶので、県内限定という気分を外したい為である。福士氏と、編集事務担当の鎌田和子氏に、御礼を申し上げたい。
第二章は、陸奥新報「文化時評」に載せたそれぞれを、津軽発信のその時々の記録とすべく、一章とした。絆創舎とはわが住居のニックネームである。
第三章は、杜の都社(盛岡)発行の月刊『街・もりおか』(編集長・斎藤五郎)に、二〇〇三年四月から〇四年三月迄連載した「絵の中のプロムナード」を改題したものである。盛岡所縁の画家の作品ばかりでなく、わが記憶は中央の作家にも及ぶ。第四章、五章については、それぞれにデータを示してあるので、ここでは特に記述しない。拙講演を企画し、対談の相手となって下さった岩手町立石神の丘美術館芸術監督・六岡康光氏、並びに、図書新聞に於てのインタヴユア編集部・米田綱路氏に感謝申し上げたい。(「あとがき」より)
《目次》
I 青森風景誌
観櫻會、屋台、モデルノロジオ 今純三 今和次郎
津軽方言の美術 棟方志功
「見送る人々」、「海の群像」、健の後姿 阿部合成 常田健
津軽のKUDO 工藤哲巳
津軽のモダニズム 工藤正義
旅の繪師 下澤木鉢郎
弘前市紺屋町三五番地 寺山修司
見たてることの想像力 岡本太郎
蝶の幻想 鷹山宇一
地獄極楽御掛地 太宰治
「殺人幻想」 根市良三
市の風景 関野凖一郎
「水ぬるむ頃」 川村精一郎
南津軽郡常磐村 高木志朗
生地弘前の消去 斎藤義重
温室の風景 橋本花
平野幻想リアリズム 平野四郎
釘にて描く 渡辺貞一
II 「絆創舎」発信
民族藝術学会にて
津軽の「工藤哲巳展」
一回限りの寺山修司学会
秋田雨雀展
斎藤義重展
若林奮の死と土方巽抄展
III 繪から届く聲 繪への呟き
仁 丹
丘
車輪
忠彌文字
橋
頬
窓
皹
雲
碧
IV 講演・対談
刷への目覚め
刷への意志をめぐって
インタヴュウ
V 東北という劇空間