既刊案内(2005年8月4日発売)

郭 煥 圭
(カナダ・サイモン・フレーザー大学政治学部名誉教授)

 台湾の行方
Whither Taiwan?

46判上製 250頁 本体 2000円

発売中

  

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推薦の辞                                      

 私がここに推薦の辞を書くのは、著者郭煥圭氏との珍しい出会いから生まれた友情に基づくものであるので、最初にそのことに触れておきたい。
 郭氏に初めて会ったのは、一九六六年夏、オックスフォード大学のセント・アントニー・カレッジにおいてである。郭氏は、教員控室で新聞を読んでいた私のそばに座るなり、流暢な日本語でいきなり自己紹介を始めた。彼は、アメリカの大学でライシャワー教授、スカラピノ教授等と、私の東大時代の恩師である河合栄治郎を中心に、日本の自由主義を研究したことがある。それで、日本の自由主義の問題について、二人でいろいろ話し合ったことを記憶している。彼は、蒋介石批判の言論をしたため、台湾へ帰ることができず、その後カナダのサイモン・フレーザー大学に奉職した。
 以後、いろいろの機会に彼と話し合うことがあり、バンクーバーの彼の自宅に家内と一緒に泊めてもらったこともあり、逆に彼夫妻を長野県の諏訪の温泉に案内したこともあった。
 その間に私が知り得たことは、彼の根本思想は、台湾と中国とが武力に訴えることなく共存を続けていくことであり、例えば共産党崩壊後のロシア、白ロシア、ウクライナなどの独立国家共同体のごとき関係を樹立することである。私もその関係以外に、困難な歴史的背景のある台湾問題の解決は、見当たらないのではないかと考えている。台湾の将来を案じる方々に、一読をお勧めする次第である。 

                                   (関 嘉彦)

目 次

はじめに:私と台湾
 第一章 台湾問題とは      
     台湾問題の本質
       (一)歴史の産物/(二)国際政治の影響/(三)民主主義の潮流
       台湾の政治文化
       (一)臣民型の台湾人/(二)合理的台湾人

 第二章 中国の台湾政策

      (一)国共内戦の延長(一九四九―一九七九年)
       台湾問題即アメリカによる内政干渉
       国・共は呉越同舟
      (二)第三次国共合作への試み(一九七九―一九八八年)
      「台湾同胞聯誼会」: 統戦への外郭団体
      『台湾之将来香山会議』:台湾人学者と統戦
      (三)中・台対立と問題の国際化(一九八八―一九九六年)
       一九九二年の原則
       台湾総統選挙と海峡危機
      (四)経済戦略と台湾の国際的孤立化(一九九六年―現在)
       まとめ

 第三章 アメリカと台湾問題       
      
(一)反共戦略の中の台湾
      (二)米・中関係の関数としての台湾
      (三)アメリカ覇権主義下の台湾

 第四章 日本と台湾問題       
     
台湾についての思考停止
       台湾問題についての「思考パターン」
       中台危機と日本

 第五章 台湾の将来
       (一)世代交代による意識形態の変化
       (二)経済利益の変化と政治姿勢の変動
       (三)IT革命による情報の多量化とスピード化
       (四)ゼロサムゲーム化する台湾問題
      
 二〇〇四年総統選挙と公民投票

 第六章 台湾問題と政治学       
       (一)方法論から見た台湾問題 
       (二)論理とプロパガンダ
       (三)政治と経済

 
おわりに

 参考文献
 台湾政治史・重要事項年表
 付録一:台湾関係法
 付録二:公民投票法
 付録三:反国家分裂法
 台湾の基礎データ

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