既刊案内2006年12月20日発売

植 田 浩 史(慶応義塾大学)・本 多 哲 夫(大阪市立大学)編著

公設試験研究機関と中小企業

A5判上製360頁 3200円

『おおさかの住民と自治』(07/11)に紹介

発売中

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 本書は、これまで『産業集積と中小企業』『「縮小」時代の産業集積』を発表してきた研究グループによる三冊目の共同研究の成果である。今回、対象として取り上げたのは、地域の中小企業支援で重要な役割を果たしてきた公設試験研究機関(公設試)である。公設試は、現在、設立主体である地方自治体の財政状況の悪化や地域産業政策の変化、国の科学技術政策の変化、地域産業や地域中小企業の構造的な変化のなかで、大きな改革期にある。こうした公設試の現状を、本書では、歴史や政策の流れから位置づけるとともに、実態調査やアンケート調査を踏まえて分析し、現在抱えている問題や課題について考察した。特に、第III部では、全国の公設試の現状を、具体的な調査を踏まえて、詳細に紹介している。公設試に関する研究については類書はなく、公設試の関係者のみならず、中小企業研究者、中小企業政策担当者、多くの中小企業関係者にぜひとも読んでいただきたい内容になっている。

推薦の言葉 大槻眞一氏(阪南大学学長,元滋賀県工業技術センター所長)

「経営活動がグローバル化する時代を迎え,わが国の中小企業の経営環境は大きな変貌を遂げつつある。それにともない,中小企業の求める公的支援もおのずと変化する。
 これまで中小企業の支援に重要な役割を果たしてきた公設試も大転換期を迎えるとともに,新たな期待も多く寄せられている。本書は,そうした公設試を,歴史,産業政策,科学技術政策,地域振興策などから多面的に分析し,公設試の新たな展望を拓く指針を提起している。」

 序章 公設試験研究機関研究の課題
 
 (植田浩史:慶應義塾大学経済学部教授)
  第1節 公設試験研究機関
  第2節 公設試験研究機関をめぐる環境変化
  第3節 公設試験研究機関研究の意義と本書の課題
第I部 地域産業振興と公設試験研究機関
 第1章 公設試験研究機関の歴史−公設試100年の概観
  (田中幹大:小樽商科大学商学部助教授)
  
第1節 はじめに
   第2節 第2次大戦以前の公設試験研究機関
   第3節 戦後復興期から1970年代の公設試験研究機関
   第4節 地域における科学技術の振興と公設試験研究機関
   第5節 おわりに
 第2章 科学技術政策と公設試験研究機関
 
 (田口直樹:大阪市立大学大学院経営学研究科助教授)
  
第1節 はじめに
   第2節 科学技術政策の自立化と地域科学技術振興
  第3節 科学技術基本法の制定と研究開発体制の転換
  第4節 地域科学技術政策の転換と公設試験研究機関
  第5節 おわりに
 第3章 地域産業政策と公設試験研究機関
 
  (桑原武志:大阪経済大学経済学部専任講師)
第II部 公設試験研究機関の現状
 第4章 公設試験研究機関の現状
  
(本多哲夫:大阪市立大学大学院経営学研究科助教授)
  第1節 はじめに
  第2節 『公設試験研究機関現況』からみる公設試の姿
  第3節 「公設試験研究機関アンケート結果」からみる公設試の姿
  第4節 おわりに
 第5章 公設試験研究機関利用企業の実態
  
(本多哲夫,田中紫峰:大阪市立大学大学院経営学研究科前期博士課程,
   佐々木彩女:元大阪市立大学大学院経営学研究科前期博士課程)
第III部 地域産業と公設試験研究機関
 第6章 都市型大規模公設試験研究機関
  
(東京,大阪府,大阪市,神奈川,兵庫)(植田浩史,本多哲夫,義永忠
   一:桃山学院大学経済学部助教授,関智宏:阪南大学経済学部専任講師)
 第7章 産地振興型公設試験研究機関
(旭川,尾張,今治,京都繊維)
  (大田康博:徳山大学経済学部助教授,粂野博行:大阪商業大学総合経営
   学部助教授,立見淳一:大阪市立大学大学院創造都市研究科専任講師,大貝
   健二:京都大学大学院経済学研究科後期博士課程)
  第1節 はじめに
  第2節 旭川の公設試験研究機関と木工業振興政策
  第3節 技術支援と企画・開発・販売支援と融合に向けて
  ―愛知県産業技術研究所尾張繊維技術センター
  第4節 今治産地の新展開と愛媛県繊維産業試験場
  第5節 地域産業政策の新しい動向と産地支援型公設試験研究機関の再編
  ―京都市産業技術研究所繊維技術センター
  第6節 おわりに
 第8章 地方公設試験研究機関の新たな動き
(岩手,滋賀,島根,広島)
  (松永桂子:島根県立大学総合政策学部専任講師,堂野智史:メビック扇町,
   関智宏,植田浩史)
  第1節 はじめに
  第2節 「顧客」視点で地域の課題解決に取り組む岩手県工業技術センター
  第3節 企業支援の明確なミッションをもつ滋賀県工業技術総合センター
  第4節 広島の地域産業政策と公設試の一元化へ向けた動き〜評価制度導入の背景〜
  第5節 新産業創出プロジェクトにかける島根県と島根県産業技術センター
  第6節 おわりに
 終章 公設試験研究機関の今後の展望
(本多哲夫,植田浩史)

参考:
植田浩史編『産業集積と中小企業』A5判上製 240ページ 2600円(平成12年度商工中金の中小企業研究奨励賞を受賞)
植田浩史編『「縮小」時代の産業集積』A5判上製 280ページ 2800円

その他創風社の中小企業をテーマとした本(既刊)
相田利雄・小川雅人・毒島龍一・川名和美著『増補・現代の中小企業』A5判並製 466ページ 2900円
平野 真著『技術者のための起業マニュアル』A5判並製 296ページ 2600円
小川雅人・毒島龍一・福田敦『現代の商店街活性化戦略』A5判上製 202ページ 2800円(平成16年度商工中金の中小企業研究奨励賞を受賞)
福田敦
・毒島龍一・小川雅人『地域商業革新の時代A5判上製 256頁 本体2400円

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