2007/4/25発売 6/15更新

片山善博(日本福祉大学)

 差異と承認
――共生理念の構築を目指して―

A5判上製 234頁 本体 1800円

発売中

日本図書館協会選定図書に選ばれました。(6/15)  

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参考:片山善博著『自己の水脈―ヘーゲル「精神現象学」の方法と経験―

 近年、「承認」をめぐる議論は、いわゆる哲学だけでなく多文化主義やフェミニズムなどさまざまな社会科学の領域においても注目されてきた。しかしホネットが指摘しているように、その内実は十分に規定されてはいない。本書は、現代の「承認」をめぐるさまざまな議論をできるだけ簡潔に整理し、その内実を、フィヒテやヘーゲルの承認論にまでさかのぼりつつ、できるだけ明確化することを課題とした。第一部では、現代の承認論を考察する上で、多くのヒントを与えてくれるヘーゲル『精神現象学』における「承認論」の議論を中心にまとめる。第二部では、承認論の現代的射程を見定める。まず<身体>の位置づけが「承認論」を考えるひとつの軸となる。フォイエルバッハのヘーゲル批判をひとつの手がかりに考察した。そして現代の承認論の代表的な議論(おもにホネット、テイラー、バトラーなどの議論)を紹介し、それぞれの承認論の中身の検討を通じて、さらなる「承認」論の新たな可能性を問うた。最後に、現代のグローバル化が引き起こすさまざまな問題を念頭におきながら、「承認論」を基礎とする共生理念(異質なものとの共生のあり方)の構築を試みた。


第一部 承認論の原型―ヘーゲル『精神現象学』を中心に

 第1章 フィヒテの受容と「承認をめぐる闘争」
  第1節 フィヒテ承認論の構図―『自然法の基礎』
  第2節 ヘーゲル「イエナ体系構想」における承認論
  第3節 ヘーゲルによるフィヒテ承認論の受容とその批判
 第2章 「自己意識」章における承認と闘争
    はじめに
    第一節 自己意識の構造
    第二節 欲望と自己意識
    第三節 承認の構造
    第四節  承認をめぐる闘争
    第五節 主人と奴隷の弁証法
    第六節 「自己意識」章後半部分の要約
    まとめ
 第3章 近代的主体性と疎外のダイナミズム
    はじめに
    第一節 ヘーゲルの近代理解
    第二節 近代的主体の生成(「理性」章Bを中心に)
    第三節 近代的共同性の生成(「理性」章Cを中心に)
    第四節 疎外を通じた近代的主体の生成(「精神」章Bの前半を中心に)
    第五節 啓蒙と信仰の闘い(「精神」章Bの後半を中心に)
    第六節 フランス革命の_末とその意義(「精神」章Bの末尾を中心に)
    まとめ
 第4章 相互主体的な承認の形成―二つの良心の承認
    はじめに
    第一節 承認論の背景と問題設定
    第二節 〈道徳性〉の構図
    第三節 〈知る〉ものとしての良心(美しき魂)
    第四節 行為するものとしての良心
    第五節 相互承認の完成(概念としての良心)
    まとめ
第二部 現代承認論の考察
 第5章 フォイエルバッハの自他関係論
    はじめに
    第一節 フォイエルバッハのヘーゲル批判
    第二節 思考の他者
    第三節 真の思想もしくは思想の客観性
    まとめ
 第6章 アイデンティティと承認をめぐって
    はじめに
    第一節 承認をめぐる政治
    第2節 アイデンティティの倫理
    第3節 承認とアイデンティティの倫理  
    第4節 承認論の再構築 
    まとめ
 第7章 J.バトラーの承認論の射程
    はじめに
    一 主体をめぐって
    二 承認をめぐって
    三 身体をめぐって
    おわりに
第8章 共生理念の構築に向けて
    はじめに
    第一節  共感論と承認論
    第二節 現代の承認論と共生
    第三節 共生の理念―承認論を軸に
    まとめ…残された問題
あとがき

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