市場原理主義を社会のあらゆる分野に拡張する今の政治は公的福祉を大削減しつつあります。社会政策の研究者としてさまざまな成果を上げてきた著者は障害者の家族会県連の会長としても活躍しています。今、「障害者自立支援法」の完全実施によって、多くの障害者とその家族は一層困難な状況においこまれつつあります。
なぜこんなことになるのか、どのようにしてこれを克服すればいいのか、著者の緊急の訴えです。
目 次
はじめに
序章 本書の課題及び構成と私の立場
1 本書の課題および構成
2 本書執筆に向かったわたしの立場とねがい
第I部 障害者自立支援法の概要と法批判
第1章 障害者自立支援法の政府側概要説明とコメント
1 政府筋の制度概要説明から
2 費用負担問題についての当局説明とその矛盾
3 障害程度区分の認定と支給決定制度の矛盾
4 障害者基本法との矛盾など,法理上の問題
第2章 障害者福祉の「商品」市場化
――市場原理主義化と非福祉国家化とのたたかい――
1 障害者自立支援法で障害者福祉事業の非福祉有料
サービス事業に転落か?
2 人権保障の福祉は公費負担が原則のはずだが,
市場原理主義化で応益定率負担へ
3 障害者自立支援法は,米日政府が強行推進する大企業本位の
グローバリゼーションと大競争による「人間の安全保障」破
壊の一環だ
4 非福祉国家=日本における障害者医療福祉当事者の寄生性
5 アマルティア・センの言説にかかわって
第3章 日本的な「福祉から就労へ」(ワークフェア)
政策の展開
1「就労支援の抜本的強化」とは
2 障害者雇用の側の障害
(1)「障害者の雇用の促進等に関する法律」のお粗末な応急的改定
(2)労働基準破壊の影響
(3)使用者側の対応姿勢
3 「世界の障害者政策」とワークフェア政策
第4章 「自立支援」福祉サービスの「利用」
という概念について――自立をかちとるために――
1 自立=自主独立と自助
(1)自立の対抗的原義
(2)労働者階級の自立とは?
(3)労働者階級の自立と自助の運動
(4)グローバリゼーションと平和主義,地域民主主義と
結合した地域福祉の構築を
2 障害者の自立と「自立支援」をめぐる対抗,
公的責任の「後方支援」化と「利用者」論
――障害者の自立を実現しようとするたたかいと国連の働きかけ――
3 「社会福祉基礎構造改革」法制における「自立支援」と「利
用」の用語例
4 自立をかちとること
(1)個人の尊厳を尊重させる社会福祉・社会保障を勝ちとる
共同のたたかい
(2) 『生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書』における
「自立支援の在り方」論
第5章 国会陳述と学会報告メモ
報告I 2005年10月25日,衆議院厚生労働委員会で参考人として陳述
1 いきさつ
2 陳述記録
報告II 障害者自立支援法の政策的含意と被害及び「活用」のはじまり
──日本社会政策学会2006年度秋季(第113回)大会社会保障
部会報告──
1 いきさつ
2 社会政策学会報告のために事前に送付した「フルペーパー」メモ
(1) 障害者自立支援法の立法における当局の言い分と評価仮説
(2) 立法過程の諸問題
(3) 被害のはじまりの例示〔退所・通所停止,サービス受給抑制〕
III 否定的及び発展的側面に関する藤井克徳の先行論とそれへの
補足的なコメント
IV むすびにかえて──見直し課題
(1)即刻の改善課題例
(2)介護保険制度への統合について
(3)地域生活を支える福祉施設の早急な整備の必要
(4)障害者への所得保障からbasic income保障と就労保障への途
第6章 「ひびきの会」(福島伊達精神障害福祉会)10年の歩みと
今後の課題
はじめに
1「ひびきの会」の時期区分
2 第1期への補足
3 第2期への補足
4 第3期への補足
5 今後の課題
第II部 障害者自立支援法と私のコメント
あとがきにかえて──息子の死の前後
参考:書評 (代々木病院 岩田 俊 評 TOMO ssks 月刊きょうされん 4月号)
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