既刊案内 (2010年10/15日発売)

 相澤與一(福島大学名誉教授)著

医療費窓口負担と後期高齢者医療制度の全廃を
── 医療保障のルネッサンス──

A5判並製 220頁 本体 1800円

発売中 

本書では,日本国憲法と世界人権宣言のそれぞれ第25条等で指示された生存権および健康権である医療保障を改めて再生させ発展させるために,医療費の窓口負担(=医療保険の応益一部負担)の全廃と必要充分な医療提供保障の原則を定立して対置する。そしてとくに納税と保険料負担のほかに原則3割の窓口負担を払わなければ医療を受けられなくした医療保険の構造改悪の撤廃と,高齢者の保健医療を差別し劣等処遇して「棄老」を図る「後期高齢者医療制度」の廃絶を求める。そしてそれを切り口にして,国政において保健医療福祉の従事者と患者・障害者を含む「人間の安全保障」と発達保障(アマルティア・セン)を優先させ,「社会的共同資本」の主要な一環として教育等とともに医療を国家責任において完全に保障する方向への政策転換を促すことを課題とする。

序章 患者窓口負担と後期高齢者医療制度の全廃を
 第1節 生活経験に照らして主題を立ち上げ考察する
     わけといきさつ
 第2節 1982年にイギリスのNHSで入院手術を受けた
     経験と その後のNHS
 第3節 医療保障とはなにか

第1章  医療保障の原理原則
 第1節 医療保障の原理・原則
 第2節 資本主義体制のもとでも医療費が共同化・社
  会化される理由 
  ──医療保障と市場原則(公正取引と自助および
    営利原則)との矛盾の緩和「解決」──

第2章 医療保障制度成立史
 第1節 任意的医療共済保険から国営労働者医療保険へ
 第2節 社会保障としての医療保障
 第3節 ケインズ主義的な経済成長と「福祉国家」,
     その反転・ 「新自由主義」攻勢の中での医
     療の再市場化と営利民営化の攻撃
 第4節 私的(民間)医療保険の反作用と複層化

第3章 敗戦前の日本における「国民皆保険」
    の形成と挫折
 第1節 第2次大戦前と戦時中における医療保険形成・展開の
     略年表
 第2節 戦前日本の共済組合など
 第3節 健康保険法の成立
 第4節 国民健康保険制度の創設
 第5節 戦時体制下の医療保険

第4章 戦後日本における国民の権利としての医療保障の成立
 第1節 戦後医療保険の注記付き年表
 第2節 医療保険の瓦解から再建を経て国民皆医療保険の形成へ
 第3節 国民皆保険体制の矛盾と公費負担拡大による拡充
     (1961・4・1~1973)

第5章 医療保障の逆流的リストラの開始
 =経済危機,財政難を契機とする臨調「行革」による国庫負担
  削減主導の医療リストラ攻撃
 第1節 1974年経済危機以降の情勢展開
 第2節 臨調「行革」による保健医療福祉制度の大改悪

第6章 小泉「構造改革」における不平等化・貧困化と
 「医療構造改革」
 第1節 小泉内閣の社会保障「構造改革」における医療制度の
     構造改革
 第2節 小泉純一郎による「医療構造改革」
 第3節 「診療報酬」の連続改悪による「医療崩壊」の加速
 第4節 2006年の医療「構造改革」の本格展開としての
    「医療制度改革法」の制定と施行開始への途

立ち読みのコーナー
 

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