(発売中) 『現代サービス経済論』 A5上製 348ページ 2900円 |
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経済構造を3つに分ける捉え方が主流をなしていますが,発達した資本主義諸国では総労働者の6〜7割もが第3次産業,つまりいわゆるサービス部門に従事し,経済のサービス化現象を呈しています。この中には焦眉の問題である「高齢者介護」が含まれ,また最近最も注目されている「IT革命」も含まれています。したがって,現代の経済と社会,とくにその発展方向を理解するためには,第3次産業とその発展を把握することが不可欠であり,その理解が重要視されています。
とはいえ,いわゆるサービス部門の拡大が急速であるとともに,その中身が実に多種多様であるために,その把握は極めて困難です。この困難さは,この把握を専門とする研究者の間でも「サービスとはなにか」という最も基本的な事柄についてさえも意見の一致が見られず,百家争鳴の状態であることによく現れています。サービス経済を経済全体のなかにどう位置づけ,体系的にどう捉えるかに至っては,この困難は尚更です。しかし,サービス化現象の把握に対する社会的要請は増すばかりです。 本書は,現実のサービス的現象に目を向けながら,先学者たちの成果に学びこれを検討材料として,時代の要請に少しでも応えようと言う姿勢のもとで,5年に渡る共同研究の成果の一端として書かれたものです。本書の全体は,現在のサービス問題をめぐる学界的状況を切り開き,ここから脱しようとするものですが,多分にその反映でもあります。したがって,学界状況の一端を示す書であると同時に,なによりも新たな地平を模索する苦悩が書き込まれたものです。 第T部は,サービス経済論の初学者にも理解して貰えることを旨として書かれたものなので,講義やゼミでの教材の一端として利用することが期待でます。第U部は,専門研究者向けに今回書き下ろされたものと,既発表論稿の精緻化を伴う収録であり,問題提起を主眼としています。執筆者紹介欄には執筆者各人のE-Mail Addressも付されているので,疑問や意見を寄せて頂きたい,そして可能な限り回答を行いたいと思っております。
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