恐慌理論とバブル経済 A5判上製 222頁 本体 2400円 発売中 |
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資本主義経済における諸資本の競争上裏の展開は景気循環を生み出す。一般に,景気の上昇局面から進んでその最終段階では,まさに競争の結果として,諸商品の過剰生産が進行し,在庫一般の堆積が現われる。そこで資本蓄積は停止する。この時,信用上の異常な連鎖等によって,場合によっては恐慌という過激な反動が発生することもある。しかし,長短の時間が経過するのにしたがって在庫の一掃が実現されることで生産は回復し,投資も復活することになる。こうして景気循環は一回転し,資本主義は次ぎの高揚に向かって新たな循環運動を開始する。しかし。しかし,もし仮りに,そうであるならば,在庫が掃けて空になった商品棚や倉庫をもう一度商品で満杯にするのは,一度過剰生産を来たすまでに至った資本にしてみれば,実は造作もないことである。したがって,新たな循環が開始されるとは言っても,まさに天恵と言うべき市場の拡大でもないかぎり,また先と同じ位置で資本蓄積は停止せざるを得ないことになる。ところが,現実には,循環は必ず前回よりも高い位置に到達するのであり,さればこそ,経済成長という概念も存在するのである。前回と今回の循環を区別するものは何なのか。それは市場の拡大という単に外部的な,なかば偶然的な条件の変化などから説明すべきではない。本書の議論の中心は,単純な往復運動では説明することのできない神秘の循環,社会的生産の発達を資本の運動という形式において行なうことの真の意味を問うことにほかならない。そしてその実証としての意味において,日本のバブル経済を考察してみることになる。
目 次 あとがき |
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