赤い兎とは岡本太郎の謂である。
私にとり、太郎は、白亜の原野を駆ける、孤独な闘う兎である。
本著に「赤い兎」と名付けたのは、『画集・アヴァンギャルド』からの
引用であると同時に、岡本太郎の変らざる、鮮烈なイメージ
そのものの、表題化だと思っていただくと嬉しい。
岡本太郎は、今も謎めく多面体である。
その意味からすれば太郎は、日々発見であり、岡本太郎は
私の裡に、生き続け、跳ね続ける赤い兎だ。 (本著より)
《目次》
はじめに
I 赤色変幻
赤色変幻
現代詩と色彩
巧拙を越え
地方にある表現者
六〇年代美術の死と生
書くことの必然性
II 岡本太郎の東北
青森――恐山、川倉と縄文文化
獅子が伏す羊羹の耳
岩手――馬と鹿、エゾの魂の象徴
藤澤・縄文の炎
藤澤・縄文の炎 1997
盛岡四景
ホークロア再発見
講演ノート――日本民藝協会一九九九年夏季学級(仙台)
III さらば岡本太郎
つらぬかれた個性
歩行する鳩
「二科会」脱退前後
「アトハキミガヤレ」の声
さらば岡本太郎
岡本太郎に乾杯
都市のモニュメント
帰ってまた岡本太郎
赤い鬼・見えない建築
赤い兎――後