この『ともかく道づれ』は,1988年に青土社から出した本と同じ題名になっていますが,構成は,かなり変っています。「かくれ竜のはなし」と「シャボンだまのひと」(「シャボンだま」を改題)と「虫のいどころはどこかな?」(「虫のいどころ」を改題)の三つが,すでにむかしの本から『飛ぶ声をおぼえる』(創風社刊)のなかへ飛びでていってますし,「なわばり越えて」など四つが,収められてはいません。その代わりに,出入り自由な中継ぎのところ,いや,一休みのところに,新しく四行詩をならべている点で,全くさまがわりをしています。
「ほんまやろか」は,最初『子ども館』誌に発表されたときは「石のはなし」という題名でした。前の本を青土社から出すときに,改題したのでした。これをアーサー・ビナード氏が英訳し,"Pulling My Leg" という題(「ぼくをからかって」という意味)で,ハワイ大学から出ている文芸誌 'M杵oa'(日本文学特集号)に2001年に掲載されました。するとその英訳しか読まない日本人さえ現れたので,ちょっと題名の移りかわりを書いておくことにしました。
「おなかの太鼓」は打楽器,「ボルタの歌」は弦楽器,「あほぶえさがし」は管楽器というかたちで,「三つの楽器のはなし」として『子ども館』誌にまとめて発表された作品です。この三部作を読みかえしながら,実在しなくとも可能かもしれない空想の楽器を,じつはだれしもがそれぞれ鳴らそうとしているのではないか,と思ったものでした。(本書「あとがき」より)
目 次
ほんまやろか
夢か?
ゆれるがままに
四行詩・道草あれこれ 1
おなかのたいこ
ボルタの歌
あほぶえさがし
四行詩・道草あれこれ 2
赤の暗さ明るさ
天ng まぎれこみ
ニホンザル・スキトオリメ
四行詩・道草あれこれ 3
ともかく道づれ
四行詩・道草あれこれ 4