子どもの発達(1〜6歳)
 1つの保育園の年齢別の7人の子ども。
? 1歳4ヵ月 ポスターカラーの色を見てきれいな色に感動して知ろうとする好奇心が体を動かして一直線にカラーに向かってゆきます。色を選び筆に手を伸ばしますが描くためというより色とは何かの研究です。筆先を手で握って指の間からこぼれ出るのを喜んだり,ときには筆先を口に持っていったり,画用紙の上にこぼれて点々になることを発見して喜んだり、これはみんなカラーとは何かの研究です。したがって画用紙の上には指の間からこぼれ落ちた点々と筆を使った点々の絵が多くなります。描きはじめには点々の絵は多くの子どもに共通して出てきます。人間の中にある心臓などのリズムであろうと考えることができます。
? 1歳7ヵ月  色を使って2回か3回のうちには短い線だったり,長めの線だったりします。子どもによっても違いますが,なん回か描くうちに線は長くなり感情が入ってきます。この絵も子どもの意思と感情が感じられます。
? 2歳4ヵ月 このころから何でも知ろうという好奇心と自分でやるという自立心とが成長し始めます。そしてその子どもの意欲と母親の無理解が対立衝突し始めます。筆づかいも必要以上に激しく力が入り自己主張の感情が入ってきます。そして母親の叱り方が強い場合には色を混ぜ合わせてぐじゃぐじゃにした絵が多く出てきます。 ? 3歳7ヵ月 3歳後半から4歳にかけては顔や自分だけがわかっているものの形を描きはじめます。大人が見ては何かわからない物の方が多いようです。
? 4歳11ヵ月 多分動物でしょう、大きな動物に感動したのでしょう。緑の足らしきものが何本もありますが,子どもの表現では駆けているものや,重いものを支えるときにこの表現方法が使われます。 ?5歳11ヵ月 形が大人の常識でもわかるようになってきます。それでもまだわからないものが多くあります。形がわかるからよい絵と考えないほうがよいと思います。絵はあくまでも子どもの心の生活を表しているのですから形のあるものが良いと思い込むと,絵のなかにある無意識の彼らの感情が見えなくなってしまいます
? 6歳4ヵ月 空想の成長と想像力の発達とともに形も理解できるように描くことが多くなります。しかし絵の中でできる自分なりの合理性がよく見られます。この絵でも左の端に船のようなものが描いてありますが空に向かっています。おそらく左の方向から描いたのでしょう。彼らは遠いところにあるものをとろうとするときの絵は手を体よりもはるかに長く描いたりして画面を自分の思うように使いこなします。絵には自分の思いで描くもので上手下手で見ることはもっとも危険なことことです。