新刊案内2009年発売予定

横山 敏(山形大学)著

ゆれうごく日本農村と教育
―地域教育の社会学的研究―

A5判上製 260頁 本体 2600円

 

 Top 

 この本には、筆者が行ってきた教育社会学的研究のうち、「日本の農村と教育」関する調査研究を、こんにちの時点で整理しなおし、研究課題にそっておのおのの調査研究を配列してある。対象になっているのはいずれも南東北であり、山形県・宮城県・福島県で行った調査がもとになっている。
 まず、第一部は、「教育機関の研究」である。研究対象は、農村を背後にかかえ、あるいは農村を基盤としている教育機関である。つづいて、第二部は、「農村の変貌と地域教育」を主題として、1970年代なかばから今日にいたるおよそ30年間に、南東北3県の農村で行われた典型的な「地域教育」をとりあげる。
 序章 課題と方法
―二重の課題をひとつに―

第一部 教育機関の研究
    ―高等学校・公民館と農村―

第一章 高校間格差のもとでのカリキュラムと高校生
 1.課題の設定
 2.高校の「ユニバーサル段階」
   ―その歴史的意味―
 3.学校間格差の形成過程
   ―山形県村山地方―
   (1)高校教育普及の意味(済)
     ―階級分解を含意した階層・地域間移動―
   (2)諸要因
   (3)カリキュラムの編成
     ―高等学校(村山地区)の変貌―
 4.高校生の生活と格差
   ―≪統計≫と≪民族誌≫―
   (1)青年の発達と退行
   (2)学校生活
   ―高校生の意識にみる≪制限≫―
   (3)生活時間と仲間関係
   (4)親子関係と葛藤
 5.結び

第二章 「農村公民館」の発展と再編
    ―社会教育計画と「農村コミュニティ」の形成―
 1.はじめに
 2.総合社会教育計画から「コミュニティ教育」の計画へ
   (1)総合社会教育計画
   (2)「コミュニティの社会学」と「コミュニティ政策」
 3.「農村公民館」の再編と発展
   (1) 「農村公民館」の再編
   ―宮城県角田市横倉地区横倉公民館の事例―
   (2) 「農村公民館」の発展と再編の過程
   ―宮城県遠田郡南郷町公民館の事例―
   (3)山形県村山と長野県下伊那に学ぶ
 4.地域教育計画の主体と課題―諸機関の教育的結集を―

第二部 農村の変貌と地域教育

第三章 稲作農業と青年の教育
   ―宮城県大崎平野・南郷町農協組合員学校の成立―
 1.課題設定
   ―東北農村の性格変化と農民教育―
 2.教育実践の蓄積と「南郷町農協組合員学校」の成立
   (1)戦後の民主化と青年の学習
   (2)「水稲団地栽培」組織化の教育的意味
   (3) 「南郷町農協組合員学校」成立のモメント
 3.組合員学校の教育目標と農政の変貌
   (1)「南郷町農協組合員学校」の教育目標
   (2)「水稲団地栽培」の組織化
   (3) 「水稲団地栽培」の「発展的解消」
   (4)地域振興計画と組合員学校の教育目標
 4.教育内容・方法等における諸問題のスケッチ
 5.結び

第四章 農民教育と地域計画
    ―福島県相馬郡小高町福浦地区の事例―
 1.研究の課題―教育の意図と現実と―
 2.福浦地区農業の現況
 3.複合経営の展開と学習運動の成立過程
 4.学習運動の地域的基盤と現段階
  (1)学習運動の地域的基盤と現段階
  (2)農民の学習と地域農業振興計画
 5.結び―再び教育の意図と現実と―

第五章 外国人女性に対する日本語教育と定住支援
    ―中山間農村における農家の「世代更新」―
 1.農村の「外国人花嫁」論―論点の変化と課題―
  (1) 「外国人花嫁」論の変化

既刊案内 教育学本の検索