新刊案内2008年 7月11日発売

福田 敦(関東学院大学)、毒島 龍一(千葉商科大学)、小川 雅人(福井県立大学)著

  地域商業革新の時代

A5判上製 256頁 本体2400円

発売中 

本書は前書の改訂版に止めることなく,書名も『地域商業革新の時代』と一新し,各執筆者の4年余の商店街研究の蓄積を反映するかたちで,単に商店街に留まらない地域商業という視点から,今こそ中小商業者は革新的な活動にチャレンジしていく必要があることを主張している。本書の内容としては,流通構造の変化が地域商業にもたらす影響を踏まえ,中小小売業の経営実態と意識の変化を探るとともに,消費者購買行動の変化と地域商業者のミッションについて検討している。また,商店街組織の類型と外部主体との連携を協働事業として展開することの意義について論及している。その際,商業者の人材育成のあり方について検討し,地域団体や大学との連携の意義と取り組み課題についても検討している。さらに,2006年のまちづくり三法改正の背景と地域商業の革新に向けて残された課題,およびイギリスのTCM活動とBIDに関するケース・スタディも論考している。(「はしがき」より)

 目次

は し が き
序 章 地域商業活性化への視点と本書の構成
 第1節 小売業の構造変化と地域商業
 はじめに
  第1項 新まちづくり三法の政策課題と中心市街地の状況
  第2項 地域商業と商業者の役割
 第2節 最近の変化を小売業の業態別動向
 第3節 本書の構成と主張

第1章 小売商業構造の変化と地域商業問題
 第1節 わが国の小売商業構造の動向
  第1項 小売業の動向
  第2項  業種別の動向
  第3項 小売業態別動向と販売効率低下への対応
  第4項  駅改札内事業所の販売状況
  第5項  大型商業施設等の立地選好
  第6項 中小小売業の経営実態
  第7項  家計消費の動向
  第8項 消費者の小売店舗等に関する意見
  第9項  無店舗販売の状況とネット通販の利用状況
  第10項 SC の新たなステージ

第2章 中小商業者の経営実態と意識
 はじめに
 第1節 小売業を巡る変化
 第2節 景況感から見た中小企業と大企業
  第1項 非製造業の景況感
  第2項 中小小売業の景況感
 第3節 小売業の規模別に見た経営の動向
  第1項 売場面積規模別の販売傾向
  第2項 小売業就業者規模別販売効率
  第3項 小売業の業態別の比較
 第4節 中小小売業経営の実態と経営者マインド
  第1項 中小小売業経営の実態
  第2項 中小小売業の経営者マインド
  第3項 今後の見通し

第3章 中小・商業政策の変遷とその評価
 第1節 中小企業政策の対象としての地域商業
 第2節 ベンチャーブームと流通革新の進行
  第1項 製造部門からの中小企業革新政策
  第2項 中小企業政策の初期のインパクト
  第3項 安定成長期の構造改革とベンチャーブーム
  第4項 転換期の構造改革と産業革新時代の到来
 第3節 地域商業の振興課題

第4章 消費者の購買行動と地域商業のミッション
 第1節 中心市街地・商業集積に見る消費者ニーズ
  第1項 消費者が考える中心市街地への期待と魅力の源泉
  第2項 中心市街地における買物行動の特徴
 第2節 地域商業としての中小小売店対大型店の魅力
  第1項 地域商業としての中小小売店及び大型店の魅力の所在
  第2項 地域商業としての強みを活かした経営
 第3節 消費者の購買行動から見た小売業態集合体としての地域商業像
  第1項 生活者視点の購買行動のポイント
  第2項 購買行動への生活環境要因の影響と地域商業への期待

第5章  商店街組織の類型と「協働」事業のあり方
 第1節  商店街組織の類型と機能変化
  第1項  組織化政策としての商店街
  第2項  商店街の類型
  第3項  商店街ライフサイクル論
 第2節 商店街の共同事業
  第1項  共同経済事業
  第2項  環境整備事業
  第3項 教育情報事業
  第4項  福利厚生事業
 第3節  共同事業から協働事業へ
  第1項  商店街の問題点と活動への期待
  第2項  個店と商店街組織の関係
  第3項  内部資源の限界と外部資源の導入
  第4項 商店街の存立意義と協働概念

第6章 商店街の地域活動と多様な連携
  ――地域とのパートナーシップ――
  この章の狙い
 第1節 商店街の構造的課題
 第2節 求められる商店街のパートナー
 第3節 商店街と NPO 等の関係の実態
  第1項 商店街の独自活動と連携事業内容
  第2項 連携の評価と期待
 第4節 地域と商店街の活動例
  第1項 商店街の組織活動としの連携
  第2項 商店街事業者の連携活動
 第5節 行政との連携

第7章 商店街再生における商業人育成
 ――商人塾における意義と展望――
 はじめに
 第1節 商店街再生の意義
  第1項 地域社会の機能と商店街
  第2項 地域商業と商店街
 第2節 商業人育成の視点
 第3節 行政と地域社会の架け橋

第8章 商学連携事業の意義と課題
 第1節 地域商業の革新と商学連携
  第1項 地域商業の革新とパートナーシップづくり
  第2項 商学連携の留意点
 第2節 商学連携の類型
 第3節 商学連携の事例と課題
  第1項 包括連携協定
  第2項 包括連携協定の強みと課題
  第3項 学生を中心とした商学連携の事例
  第4項 商学連携の方向

第9章 まちづくり三法改正の背景と
   地域商業の革新に向けて残された課題望
 第1節 まちづくり三法制定の背景と当時の政府見解
  第1項 商業調整政策からまちづくりへの視座転換
  第2項 98年当時の政府見解
 第2節 中心市街地の状況と政策評価
  第1項 中心市街地の定義と活性化の意義
  第2項 中心市街地空洞化の状況
 第3節 中心市街地空洞化の背景
 第4節 まちづくり三法の効果の検証
  第1項 旧中心市街地活性化法の検証
  第2項 改正都市計画法の検証
  第3項 大店立地法の検証
 第5節 中心市街地再生のための新たな政策
 第6節 まちづくり三法改正の到達点と今後の展望
  第1項 新政策の到達点に関する評価
  第2項  国による中心市街地活性化基本計画の認定状況
  第3項 商業まちづくり政策の展望
  結 び

第10章 英国のTCM・BIDに見る地域と商業の強固な連動
 第1節 英国のTCMとわが国の当該制度との違い
  第1項 ATCMと商業地の活性化の進行
  第2項 ATCMの役割とTCM制度の厳格化
  第3項 英国におけるBID制度の導入の素早さ
  第2節 スキルの向上の仕組み
 第3節 プリマス市のTCMとBIDについて
  第1項 TCM・BID導入前のプリマス市の商業について
  第2項 TCMとBIDの同時導入
  第3項 プリマス市のBIDの仕組みと産学官連携
 第4節 地域商業革新とまち再生制度の課題


担当:小川:序章、2章、6章、7章

   毒島:3章、4章、8章、10章

   福田:1章、5章、9章

参考:(既刊)
植田浩史編『産業集積と中小企業』A5判上製 240ページ 2600円(平成12年度商工中金の中小企業研究奨励賞を受賞)
植田浩史編『「縮小」時代の産業集積』A5判上製 280ページ 2800円
植田浩史・本多哲夫編『公設試験研究機関と中小企業』A5判上製 324ページ 3200円
平野 真著『技術者のための起業マニュアル』A5判並製 296ページ 2600円
小川雅人・毒島龍一・福田敦『現代の商店街活性化戦略』A5判上製 202ページ 2800円(平成16年度商工中金の中小企業研究奨励賞を受賞)
相田利雄・小川雅人・毒島龍一・川名和美著『増補・現代の中小企業』A5判並製 466ページ 2900円
植田浩史・立見淳也編『地域産業政策と自治体』A5判上製 264ページ 2600円

(発行予定)
小川雅人『地域小売業再生とまちづくり――持続可能なまちづくりと地域商業A5判上製 260頁 本体 2400円
小川雅人中小企業経営論A5判上製300頁 2800円

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