新刊案内(2009年3月6日発行)
高野範城(弁護士) 社会保障立法と司法の役割 ――憲法25条と立法裁量を中心に――― 308頁 46判並製 2000円 発売中 |
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すべての人が安心して社会で生活し、健康で文化的な営みができるようになるためには、思想、良心の自由、言論出版の自由などの自由権の保障とともに、教育と社会保障、そして労働などの生存権の保ェ不可欠である。私の弁護士生活の相当部分は憲法19条の思想・良心の自由、憲法23条の学問の自由そして、憲法25条の生存権、とりわけ社会保障、憲法26条の教育権、教師と子どもの人権、憲法27条、28条の労働基本権に関わる裁判や仕事に費やされてきたといっても過言ではない。…………本書の各論文は私の38年の弁護士生活で執筆した憲法25条の裁判規範性が、如何に立法府の裁量権を拘束するかに焦点をあてたものを収録している。(「あとがき」より) 第1章 社会保障事件における@裁量の問題について 1.はじめに 2.立法裁量論が判決にでてくる背景 3.社会保障判例における立法裁量について 4.おわりに(立法裁量の限界の方向性) 第2章 社会保障立法と立法裁量 −判例からみた立法裁量の限界− 1.はじめに 2.判例の傾向からみた原判決の立法裁量論の特異性 −判例からみた立法裁量論の軌跡− 3.原判決の立法裁量論の憲法適合性 4.本件併給禁止規定と立法府の裁量の問題 −本件併給禁止規定の違憲について− 5.本件併給禁止規定は立法府の裁量を逸脱した場合にあたる 第3章 憲法25条下の立法裁量と司法審査 −堀木訴訟の最高裁の弁論− 1.はじめに 2.立法裁量の性質等の分析からみた原判決の誤り 3.社会保障立法と立法裁量をめぐる問題 4.まとめ 第4章 社会保障裁判と憲法25条 −堀木大法廷判決との関連で− 1.わが国ミ会保障の現状と問題点 2.最高裁判と社会保障 3.生存権の基本理念と社会保障 4.堀木大法廷判決の評価と問題点 5.おわりに 第5章 社会保障裁判と立法裁量をめぐる諸問題 −学生無年金障害者裁判との関係で− 1.問題の所在 2.生存権立法と裁量問題の経過 3.違憲審査制と日本の裁判所 4.最高裁判例の審査基準とその問題点 5.戦後日本の出発と社会保障の意義 6.障害者の人権と所得保障の重要性 7.社会保障と司法の役割 −主として堀木訴訟の大法廷判決との関係で− 8.社会保障立法と司法審査のあり方 第6章 最高裁は少数者の基本的人権擁護と 憲法理念の実現に真摯であれ −学生無年金障害者裁判− 1.はじめに 2.最高裁に期待されていたもの 3.最高裁判決の誤り 4.おわりに 第7章 憲法25条の裁判規範性をめぐって(試論) −主張・立証責任の関係で− 1.憲法25条の裁判規範性で何が問題か 2.憲法25条の規範性をめぐる沿革 3.最高裁判決の裁量権と主張・立法責任 4.憲法25条の権利と社会保障法上の権利 −法改正との関係で− 5.健康で文化的な最低限度の生活とは 6.若干のまとめ 第8章 社会保障裁判における実態調べの意義 1.はじめに 2.社会保障裁判と実態調べ 3.憲法25条と実態調査 4.憲法14条と実態調べ 5.立法裁量と実態調べ 6.訴訟の動向と実態調べの関係 7.おわりに
参考:高野 範城 著作
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