新刊案内 (2010年5月19日発売予定)

 光 武 幸(札幌学院大学)著

ウェルネス・ツーリズム

A5上製 206ページ  本体2000円

発売中

 1980年代以降,イギリスのヘルスファームを母体として,特にアメリカを中心に発展してきたスパサービスは,まだまだ世界的に正しく認知されておらず,啓発が必要と言われている。メディカルツーリズムと同様にヘルスツーリズムを構成するウェルネスツーリズムは,メディカルツーリズムと異なり,積極的な病気治療・療養を目指しての旅行ではなく,ヘルスケア/ウェルネスを目的とし,そのためにスパサービスを求めての旅行と位置づけられる。病気を予防し,健康で生活をおくるための健康づくりのためのツーリズムである。免疫力を高め,自然治癒力を回復し,そして健康美を享受するためのスパサービスの研究はまだ始まったばかりである。スパサービスを提供する側,受け手側の消費者が必ずしもスパを正しく認識していないといわれる中で実務が先行している。スパサービスの購入は一般に安くはない。利用者満足を最適にするには,提供する側,購入する側がともにスパを知ることが重要である。本書はスパについての基礎的知識をできる限り網羅することに心がけて第1章,第2章を構成し,第3章では日本のスパの現状を検討し,さらに第4章において,タラソテラピーを題材に日本のスパの事例研究をする。また,第5章では,医療療養目的の温泉利用から,健康の維持・増進,そしてレクリエーションでの利用に軸足を移してきている海外の温泉,特にハンガリーを中心に,タイ,オーストラリアの温泉についてもウェルネスツーリズムの視点から紹介する。

 目  次

第1章 スパの基本的知識を得る為に


 第1節 スパ小史

1 「スパ」の言葉の由来
2 混同される言葉「スパ」
3 現代的スパの誕生,そして発展へ

 第2節 スパ概説

1 スパの定義
2 スパと温泉の差異は何か
3 スパの分類は多様
4 ビューティースパとエスティティック・サロン
5 スパ・メニューは多様

 第3節 スパとヘルスツーリズム,ウェルネスツーリズム

1 ヘルスツーリズム(Health Tourism)とは何か
2 Wellness(ウェルネス)とHealth(ヘルス)の違いは何か
3 スパとヘルスツーリズム,ウェルネスツーリズムとの関係

第2章 アジアのスパ大国タイからスパを知る


 第1節 タイ・スパを理解するために
1 タイ・スパ発展の経緯
2 タイ・スパの市場規模
3 タイ・スパの特徴をつくりだすもの

 第2節 現地調査に基づくスパ産業の実態と日本人旅行者のタイ・スパ評価 
1 ビジネス規模
2 スパ施設が提供するサービス
3 日本人旅行者からみてタイ・スパは如何に

第3章 日本のスパ

 第1節

1 日本で何が問題なのか――スパ市場の中で考える――
2 日本のスパ発展過程でみえてきたこと

 第2節 日本のスパ発展のキーワード

1 スパの啓発と人材の育成
2 ブランドの構築

第4章 日本のスパ事例研究

 第1節 タラソテラピー(海洋療法)

1 タラソテラピーが注目を集めるのは
2 タラソの資源としての海洋深層水
(1) 海洋深層水の特質
(2) 海洋深層水を利用するには取水から
(3) 海洋深層水の化学と健康
3 タラソテラピーと健康
4 観光の視点からのタラソテラピー
5 ケーススタディー
(1) 三重県
(2) 沖縄県
(3) 鹿児島県
(4) 富山県滑川市
6 日本のタラソテラピーのこれから

第5章 海外の温泉
 第1節 温泉大国ハンガリーの温泉事情――温泉の魅力と温泉経営――
1 ハンガリーの温泉を取上げるのは
2 温泉小史
(1) 18世紀以前
(2) 19世紀〜20世紀中頃
(3) 1970年代以降の温泉利用の政策
3 ハンガリーの温泉の特質
(1) 地位質学的特質
(2) 天然水の捉え方
(3) 温泉の分類――泉質――
4 ハンガリーの温泉地
(1) ハンガリーの温泉分布―ほぼ全国的に分布する温泉―
(2) ブダペストの温泉
(3) 世界でも珍しい風変わりな温泉地
5 ブダペストの温泉経営
(1) 会社概要
(2) 温泉の経営
6 健康志向とホテルの位置づけ
(1) ホテルの認定
(2) ブダペストのサーマルホテル
(3) スパホテルの利用実態――統計データから――
7 ハンガリーの温泉・スパをホテル調査からみると

第2節 南国タイに温泉
1 タイ北部の温泉――地質学的・地理的状況――
2 4つの温泉の特徴
3 タイの温泉を日本人観光客の視点で見ると
4 タイ温泉ツアーの可能性

 第3節 オーストラリアにも温泉
  ――歴史あるヴィクトリア州の温泉をウェルネスの視点で――
1  温泉の特徴
2 スパ・カントリー――観光地として成立するまでの経緯――
3 観光調査・観光市場規模からスパ・カントリーをみると
4 スパ・ツーリズムも重要になってきたヴィクトリア州
5 スパ・ツーリズムの重要性が増すヴィクトリア州
    ―― 2005年以降の状況――

関連書
光武 幸,小内純子,湯川 郁子著
『釧路内陸部の地域形成と観光・マーケティング』
A5判上製 216頁 本体2400円

立ち読みのコーナー(11/7/13)

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