マルクスはもう古いとよく主張されている。だがそれは,近代社会はもう古いというのと同じだ。というのも,現に私たちが生活しているのは近代社会で,この社会をマルクスはとらえようとしているからだ。「資本主義が続くかぎり,マルクスを超えることはできない」(サルトル)といわれるように,マルクスが示した社会理論は,今日の私たちにとっても妥当するといえる。また,マルクス自身の著作は短いものでも難解だし,いわゆる解説書はそれぞれの立場から書かれている。初めてマルクス社会理論を学ぼうとするときに,どれを手にとったらいいのか迷うことも多い。本書は,マルクス社会理論にもとづいた叙述だが,マルクスに「忠実」な解説をめざすのではなく,筆者なりのマルクス理解を展開することで,平易な説明になるように心がけた。
(主要目次)
第1部 社会論理の把握 第1章 包括と循環 第1節 包括の弁証法 第2節 循環の弁証法 第2章 疎外と物象化 第1節 対象化と疎外 第2節 物象化という事態 第3章 日常意識とイデオロギー 第1節 目の前の現実と日常意識 第2節 学知とイデオロギー知の違い
第2部 社会構造の把握 第4章 生活と生産 第1節 人間の基底的存在と生活過程 第2節 生産活動と生産過程 第5章 生産様式と生産関係 第1節 生産関係の形成 第2節 生産様式の諸相 第6章 循環過程と再生産構造 第1節 生産過程の循環 第2節 社会の再生産構造
第3部 歴史形態の把握 第7章 小経営と商品世界 第1節 小経営生産の解体 第2節 商品関係の発展 第8章 資本世界と階級闘争 第1節 資本の再生産構造 第2節 資本関係と階級関係 第9章 自由処分時間と自由の領域 第1節 自由処分時間の創出 第2節 将来社会の展望
第4部 イデオロギーの把握 第10 章 ブルジョア・イデオロギーへの批判 第1節 近代ブルジョア社会の構成 第2節 ブルジョア・イデオロギーの誤り 第11 章 小ブルジョア・イデオロギーへの批判 第1節 小ブルジョア・イデオロギーの存立基盤 第2節 小ブルジョアジー・イデオロギーの幻想性 第12 章 農本主義思想の把握 第1節 小経営農と農本主義思想 第2節 日本農本主義への批判 終章
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