2014年7月24日発売 

滝 口 素 行(元・島根県高校教師,環境教育研究者)著
現場から考える環境教育
――まず一人ではじめよう――

発売中

A5判並製286頁 本体1800円

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本書は,私が地方の高校教員として25年間取り組んできた環境教育についての研究や実践の記録である。環境教育に限らないことであるが,現場の教員はあまり記録を残さない。一緒に環境教育の勉強会をおこなった同僚の方々は優れた研究や実践をおこなっていたが,記録を残さないので,定年を迎えると同時にその実践も消えてしまった。後輩達は参考にすることもできない。惜しいことだ。そこで,私は現場人のための,現場人による記録を残すことにした。特に褒めてもらったこともなく,「残すほどのものか?」と問われれば何とも答えようがない。殆どが普通の実践であり,多くの現場教員と同じく普通に教育活動をおこなっていたのだ。ここのところはもう少しなんとかしよう,というように小さな一歩を重ねながら教育する,そんな風だ。多くの「○○の教育実践」は確かにすばらしい。すばらしいが,自分と違いすぎてかえって参考にならないと思った。普通の取り組みをしている教師が記録を残せば,案外参考になるのではないか。「これなら軽く超えられる」と。(「はじめに」より)

 主要目次-- 第 I 部 学校での取り組み 第1章 初任校で取り組んだ環境教育研究 第1節 やっと教員になった 第2節 手探りからはじめた 第3節 環境問題を2つの視点でとらえた 第4節 この時代の環境教育を取り巻く空気 第5節 その後への影響 第6節 次の学校へ 第2章 教材化への取り組み 第1節 学校を変わって 第2節 地球温暖化を教材化してみた 第3節 外国に目を向け始める 第4節 環境教育勉強会を始める 第5節 次の学校へ 第3章 最も生産的なとき 第1節 盲学校へ 第2節 『高校生の環境のイメージ』 第3節 副教材『地球は今 そして島根は』作りに参加する 第4節 冊子『島根の環境問題--対立から協調へ--』をつくる 第5節 アジアに出かける 第6節エビ養殖場を見る 第7節 その他のアジア 第8節 自然観の聞き取り調査 第9節 盲学校での中での環境教育 第4章 意欲の問題に取り組む 第1節 再び普通高校へ 第2節『農業と環境を組み合わせた授業』 第3節 まとめ 第4節 大学院へ 第II部 大学院での取り組み 第5章 東京学芸大学大学院へ 第1節 大学院を決めるまで 第2節 大学院の意義 第6章 多忙化問題 第1節 問題の所在 第2節 教師の多忙か研究から考える 第3節 ではどうすればいいのか? 第4節 もっと深刻なバーンアウト(燃え尽き) 第7章 学習への動機付け問題 第1節 問題の所在 第2節 学習性無力感理論,エゴティズム理論 第3節 自己効力論 第4節 内発的動機づけ理論 第5節 高校生の学習に対する無気力をどう変えるか 第6節 社会文脈,関係性の重視という考え方 第7節 つまりどうすればいいのか 第8章 高校現場を訪ねる 第1節 フィールドワーク 第2節 神奈川県立大師高校の「神奈川の環境問題」実践 1 学校と科目の概要 2 舞岡公園での水田耕作体験 3 小網代の森での活動 4 「神奈川の環境問題」の意義 第3節 千葉県立小金高校の総合学習「環境学」実践 1 学校の概要 2 「環境学」をはじめたいきさつ 3 「環境学」の骨組み 4 触発学習 4月〜6月 5 探求学習 6 研究発表 11月 7 教師の同意性が存在した理由 8 大きく成長してゆく総合学習 第9章 全国の高校現場を訪ねる 第1節 北海道 第2節 関東 第3節 東海・甲信 第4節 四国 第5節 九州・沖縄 第6節 資料のみ送っていただいたところ 第7節 まとめ--環境教育はどこからはじめるべきか 第10章 再び海外に目を向ける 第1節 ドイツエコツアー 第2節 タイエコツアー 第3節 韓国環境教育訪問団が来る 第4節 中国の学校を見に行 第5節 大学に来ていた外国の教師たち 第11章 その他大学院で学んだこと 第1節 多摩少年院 第2節 大学院在籍中の学会,研究会,講義など 第III部 早期退職後の取り組み 第12章 環境教育史 第13章 再び,環境教育の土台を考える

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