2019/3/7更新
相澤 與一(福島大学名誉教授)著
社会保障のルネッサンス
――医療と介護の民主的な包括的社会化を――
A5 判並製66 頁 本体900 円
PDFチラシ
発売中
私は,2010 年に『医療費窓口負担と後期高齢者医療制度の全廃を――医療保障のルネッサンス』(創
風社)を上梓した。この本は,私自身が2008 年4月1日から施行された「後期高齢者医療制度」の被
保険者とされる事態に直面して,この制度の導入を中心に強行される高齢者医療保障の改悪攻撃を告発
するために,当面の要求を標題にして執筆したものであった。その時はまだ教職にあった私は,私学共
済から追い出され,保険料は最高限度額の50 万円に引き上げられ,私学共済の扶養家族であった妻は
別途に国民健康保険に加入させられ,その保険料も世帯主の筆者が負わされることになった。そのとき
に「後期高齢者」の夫から新制度による最高額の保険料のほかに妻への新規「国保」の保険料まではぎ
とるという奇怪さに,怒りつつあきれた。……いまや国民大衆の生活も現行の社会保障制度も充分にゆ
きづまっており,基本的な考え方=パラダイムと政策体系の抜本的な変革をも検討して,社会保障を発
展させなければならないのではなかろうか。しかし,現行制度によって圧倒的に支配されている我々に
とって社会の考え方までただちに変革することは無理であろうから,目前の改革課題を確認し,それで
も解決困難な課題をも予想し,より大きな変革課題をその先の課題とするのが適切であろう。つまり改
革と変革の探求である。本書は,このように社会保障関係の概念と原理・原則にもさかのぼりつつ,当
面する改革と変革の課題をたずね,社会保障運動の役割にも迫ろうとするものである(本書「序章」より)。