編集長見習い日記 その11

「精神の哲学者ヘーゲル」 

 先日、書評『精神の哲学者ヘーゲル』をHPにUPしました。この書評は最近のヘーゲル研究の動向とこの本の各章の要約についてまとめられています。そして、評者の牧野氏は、最後に次のように述べています。
「著者への要望としては、このようなヘーゲル像がもつ現代的意義を現代社会がかかえる切実な課題とも関連させて、いっそう展開させてほしいと思う。」
文献研究が中心の哲学研究者が向き合う現実的課題というのは、私も最も関心がある内容です。そんなわけで、この本の著者たちの、今まで取りくんできた研究テーマや、向き合ってきた、現実的課題にたいして、過去の活動や、文献に触れながら、自分なりに確認していこうと思っています。
 この著書の編者、島崎氏と岩佐氏は故仲本氏が創風社に紹介した研究者です。仲本氏は創風社では、『生活の中の哲学』、『哲学入門』、『論理学入門』、『現代哲学のトポス』などを出しています。仲本氏は看護学校で論理学の講議をしていました。勤労者通信大学でも労働者たちに講議してました。一般市民の人に参考になる哲学を普及することに力を入れていた先生だと私は理解しています。その仲本氏が紹介したのが岩佐氏、島崎氏です。岩佐氏は創風社では、『環境の思想』、『環境思想の研究』を出しています。哲学と環境政策のつながりも確認できる内容となっています。島崎氏は『自然科学と教育』を日本科学者会議・科学と教育研究委員会の仲間と出版しています。この研究会には小学校や高校の教員も参加しています。そのなかの一章で氏はオーストリアの哲学教育を紹介しています。そこでは、オカルトや心霊現象.etc.に対し、どう向き合っていけばよいのかを哲学教育をつうじ、批判的に子どもたちに考えさせていると氏は述べています。
 今回の『精神の哲学者ヘーゲル』では、二人の編者の他に8人の若手、中堅研究者が参加しています。哲学研究者は若い時期は文献研究が中心だと聞きます。しかし、将来的にどのような社会的課題に向き合っていくのか、活動の広がりに期待をしながら、本を販売していこうと思っています。
 また、
今回のカバーデザインは博士過程在学中の兵藤さんがつくってくれました。彼女は美学の章を担当しています。叔父さんは画家だそうです。この章を読んで私なりに学んだことは、彫刻でも、絵でも作者の思想や、内容を瞬間的に表現したものが芸術であるということです。芸術とまではいきませんが、その章を学んでから、HPのデザインや本のカバーにもその考え方を意識し、参考にするようになってきました。
例えば、
JHBMSHPかもしかほいくえんHPなど。

2003年 11月5日