脳性麻痺児が痙性を弱める手術(脳神経外科的手法と整形外科的手術の2つを受けた)をうけて、どのように成長したか。(T君の1才〜6才)……………千田 顕史(2004年4月27日)
VTRをUP!!(05/1/29)(Quick Time形式) 2011年のT君(11/1/3更新)
創風社のホームページを見て、創風社発行の脳性麻痺の本を読んで、自分で考えて、医療を選んで、子どもを育ててきたお母さんから、1才〜6才の貴重なビデオとメモが届きました。とりあえず、写真でお見せしますが、ビデオとして動く映像として原資料はありますので、それもいつかお見せしたいと思います。T君は脳性麻痺の診断をうけると脳性麻痺の訓練専門病院に訓練に通っていました。しかし、お母さんは一緒に訓練をしているたくさんの脳性麻痺児が訓練でよくなっていると思えず、医療情報をインターネットで調べ、創風社の本を読み、痙性をとる手術の内容をしったのです。
1 家の中にて…1才8ヶ月 まだ1人で歩行できず。ボバース法でリハビリを開始。
2 プールにて…2才3ヶ月。2才に入ってから歩行出来るようになったが痙性で歩行しているという感じ。ヒザがまがらず棒のようだ。でも親としては歩いてくれたというだけでうれしかった。(ここまでは手術前)
◎〈神経縮小術施行〉H12東京女子医大脳神経センター 千田……神経縮小術をした後、お母さんからもらった手紙に歩く距離が長くなったこと、カカトが地についていること、術前はお母さんにしがみついて歩いていたのが、手をそえるだけでよくなったこと、全身をかかえると軽く感じるようになったこと(全体の緊張がゆるんだ)がかいてありました。6才前は痙性の進行が早く、またふたたび再発に向かう子どもが50%近くいるので、今、神経縮小術は6才以降にすることが多いようです。神経縮小術は手術の翌日に歩行練習が始まり、術後7〜10日で退院できる、比較的軽い手術です。T君のお母さんはこの手術をうけて成果をすぐ確認でき、しかしまたすぐ再発して術前の痙性の強さにもどっていくとき身体機能がどのように悪化していくかも経験しました。つまり痙性をとった状態を短期間でも経験できたので、その成果を持続させられる次の手術(SDR)にむかう決心がつきやすかったように思います。 〈05年10月6日追加〉東京女子医大脳神経センターで神経縮小術をして、10日後にお母さんからいただいた手紙に次のようにかいてありました。 「……まず足底が正常になったためか、転ぶ回数が減ったこと、少しの間『気をつけ』ができるようになったこと、そして自分で靴がはけるようになった、立った姿勢からお座りするとき、スピードが早くなった、抱っこしやすくなりとても軽い(前は力が全体にはいってとても重かった)、目的地に行くのに歩行するとその目的の場所に着かずたおれこむように着いていたのが、ここ最近目的地にピタッと止められるようになりました。細かいのをふくむとまだありますが、手術して10日ほどしかたたないのに、少しずつ良くなっているのがわかります。痙縮がとれることにより、これだけ変化するのにおどろいています。……。」(お母さんは術前、術後をよく観察していて、再発してまたもとの状態にもどっていくのを見て、次のレベルの手術にすすんだわけです)。05年10月6日の毎日新聞の家庭欄で保育学講座よりという記事で「障害児の医療は治す、治さないより、どうつきあうかが大切」とまるで医療で障害を治療することを否定するような記事がのりました。新聞記者はもっとべんきょうしてもらいたい。
◎脊髄後根手術(SDR)施行H13東京女子医大脳神経センター 歩幅が広くなっているように見える。(高橋)
◎松尾隆先生(南多摩整形外科病院)の整形外科手術施行(股関節の筋肉と足の内反手術)
6 運動会(赤い服きてのタイコ)…6才3ヶ月 姿勢、かかと着地、ヒザ使い、足の指が効率よく使えるようになりつつあり歩行軽やか全体的に身体の動きがこれから正しく筋肉を使っていけるのではないか。部分部分の痙性をとることにより、より今まで以上に機能よくなる可能性があるように思わせます。 VTR7(8.4M) 全体としての感想……T君のお母さんはよく学習して、痙性が強くなって悪化していく前に、それを除去する手術を3回やってます。痙性除去は1回で終わるものでなく、身体症状をみて脳神経外科と整形外科を上手にくみあわせてやってきたように思います。関節が脱臼する前に、そして筋肉が硬化する前に痙性を除去できれば、本人と家族の人生にどんなにプラスかと思います。(千田)
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脳性麻痺手術を受けたT君の近況(年賀状より)(2011.1.3)
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