新刊案内(2007年10月17日 発売)   高 森 俊 島崎 清海 

久保貞次郎美術教育論集 上巻

―― 児童美術・児童画の見方・子どもの創造力 ――

発売中

A5並製 本文360頁 カラー口絵 8頁 本体2600円

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 ぼくは日本の児童画を,学校の図工科という狭いわくにはめこむことから解放し,人類の児童画として眺めることを理想と考えていた。たしかにその一歩を踏み出したのがこの本『児童美術』であった。しかし道遠しである。児童画が人類の児童画とみられるようになるためには,教師諸君の視野が拡大されなければならない。それには教師の自己解放が切実な問題として浮かび上ってくる。
 20世紀の児童画運動はそこまで一旦到達しようとしていた。21世紀の児童画はそこからスタートすべきであろう。しかしまた100年もたった後のことであろう。(『児童美術』より)
 

目次

I 児童美術
  1 いわゆる「豆天才」
  2 児童美術の目的
  3 指 導  4 教 師
  5 現実の教師 反対論
  6 児童美術と思春期  
  7 ガイダンス  8 評価の問題
  9 欧米の児童画と日本の児童画
  10 将来のプログラム

II 児童画の見方
  はじめに
  1 見 方
    児童画の見方  幼児の絵の見方
    落選と入選
  2 日本と世界の比較
    欧米の児童画  世界の児童画と日本の児童画
    メキシコの児童画集
  3 指 導
    図画の緒導  1月の図工科
    新しい色彩指導  美術教育改善の方法
    遅進児の図工指導  図画教育の方法
  4 各 論
    基礎教科としての図画  図工科の道徳教育
    児童美術教育の方向
  5 教 師
    美術教育のびんのくび  教師のセンス

III 子どもの創造力
  1 児童画
    世界の児童画から何を学ぶか
    全日本学生油絵コンクール展
    私のお母さん展
    クロード・岡本  子どもの創造力
    公衆とぼくたち  彼らの絵
    子どもの絵をどう導いたらよいか
    児童画ブーム
    小学校中学年児童の創造活動の危機
    インドの世界児童画展
    映画「絵を描く子どもたち」
    書  評  前進する子どもの絵
  2 教   師
    ユウモアと美術教師  教師の個性
    教師の自己発揮  人間ぎらいになった教師
  3 運   動
    創造美育運動をふりかえって
    創造美術教育の歴史
  4 メッセージ
    脱皮できない蛇は亡びる
    デモクラティックとは何か
    奔馬の速力は計算に入らない
    ズボンは折目のないとき真実である
    どんなことでもしゃべりたまえ
    
  久 保 貞 次 郎(くぼ さだじろう)
   1909年栃木県足利市に生まれる。1933年東京大学文学部卒
   1938年から39児童画の収集と研究のため欧米旅行。
   この前後から新しい美術教育運動を起こす。1952年創造美術教育
   協会創立に参加。1966年ベニス・ビエンナーレ国際審査員。
   元跡見学園短期大学学長。美術評論家。

参考:『北川民次美術教育論集』『子どもの絵は心』
   『久保貞次郎美術教育論集 下』『道 Kawasaki 心の旅』

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