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私は,熊本大学に勤務していた最後の1994年度から1999年度までの6年間「絵本の世界」と言う授業で様々な絵本を学生に読み聞かせし,学び合ってきました。また,東京電機大学に転勤して15年間,様々な授業で絵本を積極的に活用し,絵本を読み聞かせして学生と共に学び合って来ました。更に,折
々のおとな向けの講演会等でも絵本を紹介してきました。その実践と研究の成果の一部は,『大学教育と「絵本の世界」』の上巻と中巻,あるいは『おとなのための絵本の世界』等で公にしてきました。
――(本書で取り上げた)絵本に共通しているテーマは,様々なとらわれから解放されたいという人間的な願い,家族や恋人に対する愛情,人生や死についてなどです。多くのおとなも絵本を読むことによって多忙化の中で失った人間性を取り戻したいと心の底から思い始めたということができるのではないでしょうか。――端的に言って,ある種の絵本におとながふれることによって,おとなは忙しい生活の中で忘れていた,ある大切なことを思い出し,あるいは気づき,その結果子どもの心からの叫び声やSOSが聞こえてくるようになったり,おとなの現在の問題点や課題に気づくようになると思うのです。つまり,絵本を通して子どもとあるいはおとな自身との真の出会いが生まれる可能性が広がると思います(本書「はじめに」より)。
(主要目次)
は じ め に
第1章 子どもの心の叫び・声に耳を傾ける
第2章 おとなのつらさもわかってよ
第3章 子どもの頃の生活を思い出す
第4章 おとなの生活と価値観を見なおす
第5章 高齢者の生き方に学ぶ
第6章 おとなと子どもが出会うために
第7章 21世紀を生きる子どもたちに平和で安全な未来を手渡すために
お わ り に
1)作品リスト
2)私の推薦する絵本
3)主な参考文献
関連書籍 『現代日本文学に見るこどもと教育』、『増補・いじめ』、『登校拒否・不登校問題資料集』
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