排尿のための機能的電気刺激(Vocare system)

脊髄損傷とは
  
交通事故、転落事故などの外傷や血管が詰まったり腫瘍が脊髄にできることなどが原因で脊髄が破壊されてしまうことを脊髄損傷といいます。脳の命令が脊髄の死んだ箇所から下に伝わらなくなってしまいます。
  そして、知覚(痛い・熱い・・等を感じるとる働き)や運動機能(手足、筋肉などを動かす働き)、その他(排尿・便や心臓・肺を動かす・体温調節・性機能etc.)などが麻痺してしまった状態になります。合併症には「排尿機能の障害」「床ずれ」「排便機能の障害」「呼吸機能の障害」「体温調節機能の障害」「性機能の障害」などがあります。これらの合併症の予防こそが麻痺をもって社会で生活していく上で最も重要な課題になります。

(Vocare system)

Vocare systemとは?

 膀胱直腸障害の患者さんは自分自身で排尿ができず困難をかかえています。そこでVocare systemでは神経の代わりをはたす、電気信号をおくる導線を体内に植え込み、膀圧をコントロールすることで排尿を行います。欧米では1400もの症例があり、その95%の患者さんは積極的な評価をしています。論文の症例では術後2日で退院しています。

下の図をみればわかるように、刺激装置を使って、電気信号をおくります。体内に埋め込まれた導線を通じて、膀胱に刺激をあたえます。導線は神経の代わりのはたらきをします。そうして、刺激によって、膀圧を高め、排尿を可能にします


・Bladder 膀胱

・Sacral Nerves 仙骨神経

・Urethral Sphincter 尿道括約筋

・脊髄の仕組み

・ 反射性失禁とは 膀胱や尿道を支配している神経の異常により、尿意がないのに突然膀胱が収縮して失禁してしまうことをいいます。

・ 平滑筋 内臓の諸器官や血管などの壁を構成する筋肉。横紋がなく、普通その運動は、不随意的で横紋筋よりもその収縮が遅い。

・ 横紋筋 顕微鏡で見ると無数の横紋を有する筋繊維からなる筋肉。随意に動かしうるので、随意筋ともいう。からだ、眼、舌、耳などを動かす筋。

・ 導尿 診断または治療のため、膀胱にカテーテルをいれて、尿を体外に導くこと。

・カテーテル 体腔または、膀胱、尿道、気管、食堂、胃などに挿入して、液体や、内容の排出ないし薬液等の注入をはかるための管状の医療器具。ゴム、金属、プラスチックなどで作る。

・水腎症 尿路に異常があるため、尿が停滞して起る疾患。腎盂が拡張し、腎組織は萎縮し、ふくらんだ腎臓は、尿で満たされる。しばしば感染をともなう。

・rhizotomy 神経後根切断術 


・complete rhizotomy 脊髄神経後根完全切断

・catheter カテーテル

extradural part

・spastic bladder 収縮した膀胱

・atonic bladder 弛緩した膀胱 

・sensory nerve 知覚神経(求心性神経)

・stroke 発作  

参考:NeuroCntrol社のHP(VOCARE SYSTEMのQ&Aが載っています)

論文6へ

NEXT