米ホワイトハウスが今月12日に予定していた「詩とアメリカの声」と題するシンポジウムが、招待した一部の詩人の間にイラク攻撃反対の動きがあることを懸念して突然延期され事実上、キャンセルされた。このシンポは、米国の文学を幅広く紹介するイベントの一環として、元教師で図書館学が専門のローラ・ブッシュ大統領夫人が計画、全米の著名な詩人たちに招待状を送っていた。
ホワイトハウスがシンポの延期を決めたのは先月29日で、ローラ夫人の報道官は「米国人すべてが自由に意見を表明する権利を尊重している。同時に、ローラ夫人にも意見があり、文学イベントが政治討論会になるのは適当でないと考えている」との声明を出した。
招待を受けた詩人の一人、ワシントン州ポートタウンゼンド在住のサム・ハミル氏(59)は、「ベトナム戦争の時と同様に反戦詩人の運動を組織するしかない」という内容の公開書簡を、仲間の詩人や友人約50人に電子メールで送ったという。シンポが開かれる予定だった2月12日を「反戦詩の日」にし、イラク攻撃反対のメッセージを詩にしたためてホワイトハウスに提出しようと呼び掛けた。
今月16日には9人の詩人がホワイトハウスのシンポに代えてバーモント州の山奥の教会で反戦詩の朗読会を行う。
ハミル氏は1月末、寄せられた詩を掲示する新たなウェブサイト(www.poetsagainstthewar.org)を開き、9日現在で約5300通に上る反戦詩が届いている。【イラク問題取材班】
毎日新聞 2003年2月11日朝刊より