子どもカレンダー2011
14枚 1200円
10/15発売
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発売中
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子どもカレンダーの絵は次のような考えを大切にして編集されています。
1945年から教育が大きく変わりました。子どもへの理解,子どもの絵の見方・理解の仕方が大きく変わりました。子どもの絵の研究は子どもの意志による自由な表現を理解し,尊重する方向が広がりました。
そして子どもの創造力を育てることが大切にされるようになりました。この児童画の見方を久保貞次郎は5項目にまとめて提唱しました。
1)概念的でない。
2)確固として自信にあふれている。
3)生き生きとして躍動的である。
4)新鮮で自由である。
5)迫力があるかあるいは明るい幸福な感情があふれている。
1)「概念的でない」とは何ごとにも自分の感動や実感を中心に考え表現できることであり,固定的な常識的な考えにとらわれないことです。
2)「確固として自信にあふれている」とは成育歴の中で自分の意志による好奇心や探究心による行動を多くもつことによって心の中に成長してきた,経験による判断力を自分なりに持っていることです。そして新しいことに向かっても恐れずに好奇心のまま立ち向かってゆく精神を持っていることです。
3)「生き生きとして躍動的である」とは子どもらしい物事にたいする発見や感動そして探究心をつねにもって生活している子どもの感情の率直な表現です。
4)「新鮮で自由である」とは毎日を生き生きと生活し子どもらしい発見の喜びや楽しさが表現できている,マイペースをもった子どもの表現した絵です。
5)「迫力があるかあるいは明るい幸福な感情があふれている」。追力とは自分がしようとしていることに対する意欲の強さや集中力の高さ,成し遂げようとする心の闘いのエネルギーから表れるものです。力強さとも言います。明るい幸福な感情とは子どもの行動をつねに肯定的に寛大な気持でみている大人があり,愛されているという無意識の感情が子どもに伝わっている心の安定した状態を持って生活できているときに描かれた絵のことです。もちろん大人も子どもの絵や行動が子ども自身の人生の研究であるということを理解できる寛大な心をもってみていなければなりません。
この5項目は,子どもの絵の表現が精神的な活動であり,自分の意志による表現が創造的な心を育てることになり,人間教育の中心である感情の成育や自立心の獲得に大きくかかわってゆくことを示しています。
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カレンダーの後に、子どもの絵から心の成長を探るための資料がついています。
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子どもが母親の胎内から生まれての第一声は「オギャー」です。これは音声として周りの大人には聞こえてくる表現の第一歩です。視点を変えてみれば生きる意志であり,生きるための表現だと言うことができます。本能と言う言葉で我々は納得してしまいますが,今その生まれながら持っている意志に焦点を当てて考えなければならない時代にきていると思います。
この生まれながらに持っている身体の成長とともに内部から湧き上がってくる意志(精神的生命力と言っても良いでしょう)を充分成長させなければなりません。それはこれから生涯を生きていくための心の底流を流れてゆかなくてはならない自然なものです。そしてそれは人間が何億年と生命を維持してきた遺伝子の中に蓄積されてきたものだと思います。その表現はかかわる人が受け取ることによって伝わり発信者の満足感が満たされていくことによって大きく成長してゆきます。
幼児期には子どもの意志の表現が母親と子どもを取り巻く大人によって充分受け取られていることが,子どもの心を安定させます。その安定感が実験と研究によって物事を知っていく本来の子どもの心として成長していくのだと思います。この自然な子どもの意志を無視し続ければ,子どもは自分の周辺の環境から学ぶことをやめて,いかにして母親をはじめ周りの大人の愛情を獲得しようかというところに感情がとどまり,そのためにあらゆる我慢をして考えられないような長い年月「良い子」を演じ続けたり,思いもよらないような反逆的な行動になったりします。そこにとどまれば感情の成長が部分的に未熟なまま残ってしまいます。
さらに現代の子どもを取り巻く学校社会を含めた状況は,学力競争原理が社会のすみずみまで支配しているため,乳・幼児期から子どもの意志を無視したさまざまなスタイルの早期教育や躾が全盛です。そのため子どもたちが本来持っている自然な心や感情の成長が競争原理にしばられて,ゆがんでいることが多々見受けられます。現在起こっている青少年犯罪の報道を注意深く見聞きしていると,これらの子どもの意志を無視した教育のゆがみが,それらを生み出している例が多く見い出すことができます。
2008年6月におきた秋葉原殺人事件のK君の生い立ちも幼児期から「厳しい父親」と「教育ママ」によってK君の意志が完全に押しつぶされ,親の奴隷にされていたことを多くの報道や本人の書き込みから想像する
ことが出来ます。「良い子」を演じなければ生きていけないほどの恐怖を両親にたいして持っていたことを推察することができます。学校の成績も親にたいする恐怖が根底にあったのでしょう。その恐怖による行動が挫折という形であらわれます。思春期になれば当然今までの抑圧や恐怖に対するお返しを家庭内暴力と言う形で起こします。その暴力は長い間の不健全な抑圧を受けて無理して我慢していた自分を取り返そうとしている無意識の暴力です。言葉を変えて言えば一人の人間としての健全な心を取り返そうとしているのです。
「良い子」を演じていることに気付かない多くの大人は事件を知って「あんな良い子が」「あんななんでもない普通の子が」なぜ ? という疑問を生み出します。4〜5歳の幼児期でも子どもの意志を無視して親の言うことに納得させられたり,また強引なしつけなどによってたたく親の子どもは保育園や幼稚園でなにもしていないのに自分より弱い友達を蹴ったり叩いたりします。また楽しそうに遊んでいる友達の輪を壊します。
秋葉原の歩行者天国に乱入したように・…いまや「心の闇」は大人がつくりあげていることに気付かなければならないときです。意志の無視や抑圧された感情は未成熟な破壊的な感情を生産し続けます。
濃いめの絵の具を充分使った子どもの意志による「自由な絵の表現」は感情によって描かれます。描いているときの心の中では自己決定や判断力・想像力などの精神活動が無意識に行なわれ,それが未成熟な感情を自分で成長させることになります。
「人間の性質は生まれながらにして善である。無意識の心の作用は決して不道徳ではない。子どもの持ついろいろな欠陥は,抑圧によって矯正されるものではなく,その逆に子ども時代の抑圧の結果生まれたものである。もし子どもがその発達の各段階で,『自由に自己を表現』することを許されるならば,彼は一人で非倫理的なものを除き去り,やがて愛他的精神が青春期に無意識の心から現れ始めるにつれて,一個の倫理的存在へと発展していくだろう。なぜなら大人になっても非倫理的なものが根強く生き続けるのは,子どもの時その原始的欲望を抑圧したためだから。子どもが自由であればあるほど,彼はますます思いやりのある社会的な子どもになり,また彼の主な興味はますます進歩的になり,彼の根本的本能は常に新しい困難の征服を求めて,いっそう価値のある社会的活動に集中されるだろう」(親と教師に語る・ホーマー・レイン)
レインの言葉も自由な自己表現を抑圧し続ければ,未成熟な感情が「心の闇」(非倫理的なもの)が形成されていくことを物語っています。
感情表現と心の無意識の関係は「子どもの絵」と「行動を」通して研究していかなければなりません。その感情教育は人間教育の基礎になるといっても過言ではありません。
(子どもカレンダー編集委員会)
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「子どもの絵から心の成長をさぐる」
不透明な水彩絵の具の色を太い筆につけて下書きをしないで、何枚でも絵を描く環境があれば、子どもは自分の意志で絵を描くことができます。その絵は子どもがその時までの成長の間にもってきた感情とそのときの感情によって描かれます。その感情は自己表現することによって昇華され、コントロールされ前向きのエネルギーになり、次に成長してゆきます。もちろん一人一人の子どもの感情の成長はそこにいる母親を中心とした家族の意識の人間的環境よってそれぞれの違いをもっています。悲しい感情も喜びの感情も絵に描くことによって無意識に不満を乗り越えたり、喜びを自分の中に取り込んで創造の世界に入ってゆくことができます。それは子ども自身の自立のための精神的な闘いといっても過言ではないでしょう。2歳前後の年齢になれば男女の別なく何に対しても知るために自分でやりたがる探究心が激しく芽生えてきます。その研究心はまわりの大人の無理解と衝突することになります。ここにあげた3人の子どもの絵はそれぞれ何ヶ月かの間に何十枚も描いた中から主な成長と変化を選び出したものものです。
A1・2の絵は1歳9ヶ月ときに描いたものです・10枚ほど描いたけれども同じように紙の中ほどに小さく固まったような絵です。1歳9ヶ月ごろの子どもの生活といえば自立心が発達してきて意志が強くなり、何事も自分でやってみないと納得しない活発なときです。その時期にもかかわらず絵が固まっているのは、この子の行動を理解できずに制限する力がかなり強い絵だということがいえます。A3・4は3歳の6月の絵です。子どもの行動を理解しょうとせずに躾けなければと考える力がますます強くなっているようです。それにたいして反発して紙に絵を描くだけでは満足できないで体中をつかつて僕のやっていることを理解しろと叫んでいるようです。躾けはおし付けであることを理解しましょう。A5(5月)・6は母が講演会で自分が口うるさく子どもに注意しすぎていることに気づく、母親が気づいたことはなぜか子どもは感じてA5の絵は安心して甘える気持ちを出しています。A6(8月)筆に激しい力がはいっています・押さえられてストレスになっていた感情が力を使って自分の外へ出そうと懸命に自分と闘っています。それが自分の精神的健康を保つ方法であることを知っているかのごとく。
B1・(1.3歳)女 事情があって両親とも夜まで働かなければならない忙しさをもっている母親は夜勤のある仕事で子供とかかわる時間が少ない。それは絵の上では安定感が弱く感じられる遠慮がちな絵になります。しかし子どもの意志を大切にそこから子どもの心を学ぼうとしている保育園ではそのままの子どもの気持ちを受け入れます。B2・(2,2歳)B1を描いてから6ヶ月その間には保育士に対しておんぶも抱っこも充分にしていました。紙いっぱいにはみ出さんばかりの元気な絵に変わっています。B3・の絵はそれから約1年が過ぎた時の絵です。赤と黒は母親を象徴すると言いますが、このころ母親が第3子を身ごもりました。母親の気持ちがお腹の子どもの方へいっていることを感じて絵のうえでは紙からはみ出してもかまわず、そして体中に色をぐしゃぐしゃにつけて母の気持ちを自分の方にむけさせようとします。またB4の絵は同じころのものですがお乳の形がはっきりと現れています。B5・の絵は赤ちゃんが誕生して何日か過ぎてからのものです。子どもの絵は無意識に描かれるものですがお腹から出てきた場面のようです。そして上には濃い色を下に描いたものを否定するようにかけ流しています。納得できないことが起こるとこのような表現になるようです。B6・も同じ日に描いたものです。こちらは小さな丸に力が入っています。絵の中の丸は愛情の満足感を表しますが小さな丸に力がはいっているものは寂しさを表しています。今彼女は赤ちゃんと同じようにと赤ちゃん帰りをしているそうですがそれを母親が理解し受け入れあげれば心から赤ちゃんを可愛がることになります。
C1・の絵は入園して約2ヶ月C2・は入園して約3ヶ月ぐらいの時期に描いたものです。2枚とも激しい使いでこれを見た母親は「わが子の描いたものとは思えないほど」驚いたそうです。同じ日に描いたほかの絵もほとんどこれと同じようなものです。入園して2週間が過ぎたころから保育園に来るのをいやがりはじめたそうです。「自分で決めた保育園にもかかわらず」と理解できずに子どもの要求にしたがってお昼まで一緒に保育園で過ごすことがつづきました。9月の入園少し前に第3子を出産彼が3歳何ヶ月の時です。生まれてきた子どもをとてもかわいがっている姿が目に付いて母親は満足していたそうです。家ではよい子を演ずることによって生まれてきた赤ちゃんに取られてしまった母親の気持ちを自分の方に取り返そうと懸命になのでしょう。その自分の気持ちおさえた不自然な我慢がこの激しい力の入った絵になったのです。1月ごろまではカンシャクもひどかったカンシャクを起こすことによっては親の気持ちを自分に向けさせていたのでしょう。C3・C4は入園して7ヶ月ごろのものです。母親が保育園で子どもの心や意志を大切にしているかを絵を通して理解し始めて子どもへの対応が変化し始めたころです。あの激しさはなくなり心の奥に隠していた甘えたい形と色がはっきり(C3)とでてきています。C4・はそれでも時々は寂しさが感じられます.C5・C6(入園11ヶ月)は本当の甘えたい気持ちが理解され受け入れられることによって子どもの気持ちは安定して本来の精神年齢に帰ってゆきます。4歳8児の発達段階にあった自分だけがわかるものの形があらわれてきています。暖かい曲線で線も長くなり集中した楽しさをもったユーモラスなものになっています。母親の子どもを理解しょうという深い愛情が感じられます。
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参考:『北川民次美術教育論集』、『子どもの絵は心』、
『久保貞次郎美術教育論集 下』、『道 Kawasaki 心の旅』
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カレンダーに寄せられた様々な感想
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1月
○構図,塗り方など,自分のイメージを膨らめ,丁寧に仕上げているが,重くもあり窮屈にも感じる。○大胆でユーモラス。○あどけない表情が何となくユニーク。迫ってくる。見られている。○絵全体の力強い感じは自分のしようとすることに対する集中力の強さでしょう。向かってゆく心の表現は迫力となって現れます。全体が顔になっていることに本人は気づいていないかも知れません。描きあがった跡で意識したかもわかりませんがそれも子どもの絵のよいところのひとつです。
7月
○勢いとエネルギーを感じる。自分をしっかりと持っている。○すごく好き。気持ちがいい。噴水のよう。両手を広げているようにも見える。勢いがあり,力がふき出している感じ。○力がみなぎる感じ。楽しい。○1歳11ヵ月の子どもが描いたとは思えないような堂々とした絵になつています。日常生活も自分でやると言い出して自分の意志がはっきりと成長してくる時期です。この子どものやる気という意志から親や大人は学ばなければなりません。ここでやる気をとめてしまって後のなって「うちの子は消極的な子で」と嘆く言葉をよく耳にします。自分がするということは時間がゆるすかぎりはさせることが人生に対する前向きな姿勢を育てることになります。
11月
○紫の(目)が気になる。何を見ているのか。愛情を求めていると思うし,思春期の不思議さを感じる。○絵本『めっきらもっきらどおんどん』の“おもちになる木”みたい。甘えたい気持ちが出ている。○力強くも繊細でもある感じ。○真ん中に描かれた木全体の楽しい雰囲気は心の安定感がなければこのような絵は描けません。学童たちを見守る温かい大人の心を感じさせてくれます。花も木の実も自分で考えだして描いています。そして枝の一番上からはカタツムリの目のようなものが自然に出てきています。そしてそれが見る人を笑顔にさせてくれます。
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児童美術教育のことば
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表紙:精神的自由とは一点の絵をかくために集中する力であり, その力は自分を解放していくものです。(高森 俊)
1月: 要するに絵においては,音楽がやっているように,描写するより,暗示しようと努めるべきなのだ。時折,私の絵はわからないといって非難される。私の絵の中に説明的な面を探すんだが,それがないものだからね。(ゴーギャン)
4月: 描くことはふたたび愛すること,もう一度生きること,あらためて見なおすことだ (ヘンリー・ミラー)
5月: 子どもは精神的な活動すなわち創造的活動を重く見る。(ホーマー・レイン)
6月:子供が創造的活動にしたがうのは,ただ絵を描くためでなく,自分自身を表現するためだ。(ローウェンフェルド)
9月: 一人一人の子どもは,みなちがったものをもっており,どんな子供にも,技術教育の固定したコースを強制してはならない。(トムリンソン)
11月:真の画家は感情と呼ばれているあの良心に導かれるものだ。彼らの頭脳は絵筆のしもべとならずに,絵筆が頭脳のしもべとなるのだ。(ゴッホ)
12月:絵が手の仕事であるという考えは迷信です。絵は成長が描くのです。生活が描くのです。心が描くのです。(宮武辰夫)
参考:保育園の子どもカレンダー普及のお願い word, pdf)(10/10/15)
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むぎの子共同保育園(沖縄県南城市大里字古堅198 TEL 098―945―8192) とよむ保育園(沖縄県中頭郡中城村南上原841 TEL 098―895―6562) 梨の花保育園(島根県安来市荒島町393―3 TEL 0854―28―6643) 風の子共同保育園(京都府舞鶴市大内野107 TEL/FAX 0773―76―4972)子どものアトリエ 野の花(愛知県小牧市岩崎1242-15 TEL/FAX 0568-73-6295)キッズ・アート・クラブ(静岡県富士宮市星山1019―25 TEL/FAX 0544―24―9141) はらだっこ児童クラブ(静岡県富士市原田343-1 TEL/FAX 0545-57-2239)児童美術教育研究所 小さな原始人(神奈川県川崎市中原区丸子通2―425―8 TEL/FAX 044―722―8229) 大きな木保育園(東京都世田谷区松原5―18―12 TEL 03―3328―9822) とねっこ保育園(茨城県取手市下高井1087―24 TEL/FAX0297―78―2203) にしき保育園(埼玉県加須市川口1301―2 TEL/FAX 0480―66―1656) 白鳥保育園(宮城県登米市南方町峯90―2 TEL 0220―58―2681)→保育研究会のお知らせ |
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参考:既刊案内→教育、児童文学、美術、
;障害児医療;検索
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