久保貞次郎美術教育論集 上巻 ―― 児童美術・児童画の見方・子どもの創造力 ―― (跡見学園短期大学元学長) 高森俊(児童美術教育研究所) 、島崎清海編
A5並製 本文360頁 カラー口絵8頁 本体2600円 ISBN978-4-88352-136-4
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ぼくは日本の児童画を,学校の図工科という狭いわくにはめこむことから解放し,人類の児童画として眺めることを理想と考えていた。たしかにその一歩を踏み出したのがこの本『児童美術』であった。しかし道遠しである。児童画が人類の児童画とみられるようになるためには,教師諸君の視野が拡大されなければならない。それには教師の自己解放が切実な問題として浮かび上ってくる。20世紀の児童画運動はそこまで一旦到達しようとしていた。21世紀の児童画はそこからスタートすべきであろう。しかしまた100年もたった後のことであろう。(『児童美術』より) 目次:I 児童美術 II 児童画の見方 III 子どもの創造力 |
久保貞次郎美術教育論集 下巻 ――児童画の世界・児童画と教師――
高森俊(児童美術教育研究所) 、島崎清海編
A5並製 本文360頁 カラー口絵8頁 本体2600円 ISBN978-4-88352-137-1
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危機にひんした現代が教育にもとめるべきものは何か。ぼくの問うのは,現代という時代の混乱と矛盾のなかに,新しい秩序と希望をもたらすべき教育とは何かということである。ここ数世紀にわたってわれわれは外界のもの,客観的なものを探究したように,いまやわれわれは,内的なもの,主観的なものをやしなわなければならない。そこに芸術教育の重要さが浮かびあがってくる。芸術教育は感情の陶冶である。じっさいには,教育のすべての面で,感情の陶冶がもとめられなければならないのであって,芸術教育だけが,それを負たんするのは重荷にすぎるといわなければならないだろう。しかし,芸術教育は何はおいても,この感情教育に最大の力点をおかなければならない。感情は子どもでは,ほとんど,あるいはかなり無意識的なものである。この事実を否定しようとすると,じっさいの教育がうまくいかないことは,偏見をすててものごとを観察する習慣のあるひとにはすぐわかるだろう。(『児童画と教師』より) 目次:I 児童画の世界 II 増補版 児童画と教師 創造美育関係文献目録(島崎清海)解説(高森俊) |
八 島 太 郎――日米のはざまに生きた画家――
野本一平(北米毎日新聞顧問[ジャーナリスト])著
ISBN4-88352-146-3
248頁 カラー口絵4ページ 本体 1800円
振幅の大きい,波乱に満ちた生涯,というものの例は,私たちの周囲に,いくつか見出すことができる。八島太郎の一生も,単的にいえばそれに当ろう。しかし彼の場合は舞台が日本とアメリカにまたがった。そして,太平洋戦争をはさんで,戦前,戦中,戦後と,全く価値観の違う世界に生きた。それも受け身の形ではなく。明治の末年,鹿児島県の小村に出生し,長じて東京美術学校(今の東京芸大)に学んだが,折からの軍国主義ファシズムに抵抗して,プロレタリア芸術運動に身を投じた。いく度かの官憲の捕捉をのがれ,ついにアメリカに亡命する。しかし間もなく,日米戦争の渦中にまきこまれる。その間,アメリカ政府の戦略要員として登用され,戦場の日本兵士に,銃を棄てよと呼びかける。そのかたわら,日本人にも平和主義者のいることを,著述を通して知らせることにつとめた。終戦後,南カリフォルニアに居を移し,絵画研究所をおこし,後進の指導をしつつ,児童絵本の制作に立ち向う。トピックの背景は,つねに日本であり,素朴なふるさとの物語を普遍化し,アメリカの幼い読者にメッセージを発信しつづけた。その「人間愛」に裏打ちされた彼の絵本は好評を得て,八島は絵本作家としての地位を確立する。彼の天分は児童絵本にとどまらず,油彩,舞台装置,書,俳句の世界にまで発揮され,そのカリスマ的性格は,彼を慕う多くの人々を魅了した。・・・・・(「梗 概」より)在米日本人ジャーナリスト,野本一平による八島太郎の自伝的評伝を刊行!→詳細目次
森 澤 郁 夫(国立音楽大学器楽科卒、ジャズ・ハーモニカプレーヤー) 監修
子どものための歌――弘 田 龍 太 郎 作品集 B5判並製 CDROM付き(約100曲収録 MP3対応) 224頁 本体 2400円 ISBN978-4-88352-165-4
→詳細目次 一部内容紹介
敏感な感受性を持つ子どもたちは幼児期から美しい音楽に触れることが重要です。よい作品を数多く歌うことで子どもたちの情操や生活が豊かになります。『赤い鳥』の時代に始まり時代を超えて歌いつがれる弘田龍太郎の作品を多数収録。安芸市出身のジャズ・ミュージシャン,森澤郁夫が現場の保育士などの協力を得て編集する。収録曲100曲,デモ音源(CD)付。○弘田龍太郎(1892〜1952年)作曲家。1892年(明治25年)6月30日高知県安芸市に生まれる。1910年(明治43年)東京音楽学校(現東京芸術大学)器学部ピアノ科に入学。 1918年(大正7年)『赤い鳥』創刊をきっかけとした童謡運動に北原白秋らとともに参加、多くの童謡を作曲した。1952年(昭和27年)11月17日没 代表作(作曲):「靴が鳴る」「叱られて」「浜千鳥」「千曲川旅情のうた」
創風社編集部編
小熊秀雄――絵と詩と画論 菊判並製 134頁 本体 1800円 978-4-88352-167-8
→詳細 一部内容紹介(10/2/9)
1930年代に詩人として活躍した小熊秀雄の画集を詩と当時彼が執筆していた美術評論と合わせて刊行!
「そこに小熊秀雄その人がいた。彼の全身の態度がそこに描き出されていた。そう見えたとだけは言っても許されようと思う。ある時期のベン・シャーンのようなものがそこに見られたといってもあるいは許されるかも知れない。確乎として,しかしひょろひょろとしてふるえている線,それは彼における飢え,寒さ,骨髄からの反抗がふるえていたということでもあっただろう」と。(中野重治,本章「あとがき」より)「小熊が画家として到達した世界は,形態描写におけるレアリスムというよりは,作者の強烈な主観によってその形態を内部から突きくずした表現派の世界であるように思われる。画におけるこの到達点と彼の詩の世界とが,どのような内的関連をもっているかは,今後の小熊秀雄を研究してゆく上について,興味のある問題である。」 (壷井 繁治,同上より)目 次 第1章 サタイア(諷刺)とサルカスム(皮肉) 第2章 池袋と旭川 第3章 ペン画と詩 第4章 画論 『小熊秀雄――絵と詩と画論』出版にあたって