メディア掲載・関連書評 etc.10(創風社 Web紹介分のみ)

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張興和著『CDMによる環境改善と温暖化抑制』(日本鉄鋼協会会報『ふぇらむ』)
仲本静子著『しょうちゃんの日記』(「季刊 高校のひろば」秋号)
『芳賀たかし漫画傑作集 ぼくらの燈台・五少年漂流記』(『石巻かほく』 05/9/16)
斉藤重雄著『現代サービス経済論の展開』(「経済 11」2005 No.122)

『芳賀たかし漫画傑作集 愉快な子熊・坊やの密林征服』(『朝日新聞』 05/10/30))

『しようちやんの日記』自閉的傾向のわが子と向きあった30年
仲本静子薯

東洋大学社会学部教授 片平洌彦

 これは著者の長男である仲本彰一郎さん(しょうちゃん、以下彰さん)の三〇歳までの成長過程をテーマに、静子さんと保育園・施設、作業所との往復手紙や、静子さんの手記、そし彰さん自身の日記等をもとに作られた本です。彰さんは、生まれた当初は普通だったのに、一歳三ヶ月から「徐々に退行」し、二歳近くで自閉的傾向を伴う精神発達遅滞と診断されました。自閉症については、「性格が内向的な人という認識を持たれる方が"るが、実は脳に障害のあ心病気であり、その障害の程度もさまざまである」と解説されています。そうした彰さんは、保育園、小中学校、養護学校、そして現在の福祉作業所と、「皆に支えられ」「嵐をのりこえて」現在に至っています。福祉作業所では、ゴルフボールの袋詰め作業が得意だというのです。彰さんをここまで育てるのは並大抵ではなかったことが、文幸の行間から推察されますが、この本では、そうした大変さを強調するのではなく、むしろ淡々と記しています。その点が、読者を引きつけると思います。第5章の「しょうちゃんの日記」はひらがなが多く、読むのに一寸時間を要しますが、前記のような病気の彰さんの心のヒダに触れることが出来る貴重な章であり、読んでいくうちに引き込まれてしまいました。ここでけ、彩さんの反省の言葉が繰り返し記載されています。人間は、維しも失敗や誤り・過ちをおかしますが、そうしたことを自省し、その後の人生に生かせるかどうかが重要でしょう。彰さんも、数多くの自省を重ねたからこそ、ここまで成長されたのであり、その背後に、静子さんにじめ関係者の、まさに根気強い「教育」があったことは疑いありません。
 この本を知人の保育士に読んでもらったところ、たくさんの読後感を寄せてくれました。字数のため全てを紹介できませんが、そのいくつかを紹介します……「自分の子どもだけでなく、周りの子どもたちのことも考え行動してきたお母さんの人間性に強い共感を覚た。」「静子さんの文章は終始淡々としているが、時々はっとする深い言葉が書かれている。」「しょうちゃんの文章は独特の音色を持っている」「子もに関わるあらゆる人に読んでもらいたい。子どもを育てるというのはどういうことかということを教えてくれる。読んでいくうちに、どう生きるかということまで考えさせられる本。』。私も基本的に同感です。
 父親(私の知人)はすでに他界し、「大好き」な母親も「ずっと元気でいる保障はない-と書いているそんな彰さんの未来を思うにつけ、「自立支援」の名のもとに、障害を持つ人に「応益負担」を課し、経済的自立を阻害しようとする法律を通そうとするような冷たい政治を早く変えたいと切に思います。



(創風社、二四〇〇円+税)(「季刊 高校のひろば」9月10日 発売 旬報社)